聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

コロナ禍によるパラダイムシフトをビジネスチャンスと捉え、ESG経営を推進する。スピーディーにデジタル化を進め、空調のパイオニアとして飛躍を目指す。

「使命」と「価値観」という企業理念はどのような考えから定められたのでしょう。事業概要も教えてください。

夏井 博史(なつい・ひろし)
新日本空調 代表取締役社長
1979年新日本空調入社。2005年執行役員首都圏事業本部リニューアル事業部長、08年常務取締役、10年専務取締役、13年取締役副社長営業本部長を経て14年より現職(写真:大槻 純一)

夏井 博史 氏(以下、敬称略) 1930年、米キヤリア社との合弁企業として東洋キヤリア工業がスタートし、69年にエンジニアリング部門が分離独立して新日本空調が誕生しました。

 キヤリア社を創業したウィリス・キャリア博士は当初、「高温多湿な日本には私が発明したエアコンディショナーが絶対に必要だ。それなくして産業の発展はありえない。保健衛生上の見地からも必要性が高い」と語ったそうです。この言葉には事業を通じて社会に貢献するという考え方が表れており、当社創立以来のDNAとして受け継がれています。

 当社はオフィスビル、ホテル、精密機器の工場、データセンター、原子力発電施設など、すべてのお客さまに信頼性の高い空調をメインとする設備システムを提供しています。日本における空調のパイオニアとして確たる地位を築いてきました。

 2019年10月に創立50周年を迎え、そのDNAを未来に継承するため、新しい企業理念として「使命」と「価値観」を定めました。個人および会社のパーパス(存在意義)を、この理念の中に表現しています。

■個人および会社のパーパスを示した企業理念
出所:新日本空調

コロナ禍は事業にどんな影響を及ぼしましたか。

夏井 それまでの常識が激変し、世界規模で経済社会のパラダイムシフトが起きています。当社では、事業をはじめ働き方改革、デジタル化、BCP(事業継続計画)、サプライチェーン、人材育成、ガバナンスでそれぞれ大きな変化がありました。

 デジタル化の面では、ウエアラブルカメラを用いたリモートによる現場管理やパトロールが定着しました。VR(仮想現実)を利用した施工教育、品質管理も整備しました。コロナ禍への対応をする一方で、変革を進める機会としており、ビジネスチャンスと捉えたいとも思っています。