保有する技術の中で、コロナ禍で役立ったものはありますか。

夏井 代表的なものに、微粒子可視化技術と飛沫計測技術があります。テレビでせきやくしゃみの飛沫が飛び散る映像をご覧になったことがある方は多いと思いますが、そのほとんどは当社で撮影したものです。

 この技術を用いて20年7月、オーケストラなどの音楽活動再開に向けた感染リスク低減効果の検証に協力しました。長野県茅野市にある技術開発研究所で、管楽器や教育楽器の飛沫の可視化・飛沫計測を行い、演奏者と聴衆者のソーシャルディスタンスの有効性を実証したのです。

 微粒子可視化と飛沫計測の装置は、もともと半導体製造のクリーンルーム向けに開発したもので、最近では換気診断と室内空気質向上のための改善提案も増えています。

 「DiverCell®(ダイバーセル)」は、清浄な空気質を保持する多用途型簡易クリーンブースです。室圧制御が可能で、コロナ禍における感染症対策や清浄空間の確保といった社会的ニーズに対応します。

■多用途型簡易クリーンブース「DiverCell®
■多用途型簡易クリーンブース「DiverCell<sup class="fontSizeXS">®</sup>」
室圧を正圧と負圧に切り替えが可能な多用途型簡易クリーンブース。現場組み立て型で、感染隔離や医療従事者の休憩など様々な用途に活用できる
(出所:新日本空調)

既存事業の進化で飛躍

経営の中でESGをどのように位置づけていますか。

夏井 コロナ禍は企業、組織、社員のパーパスを見つめ直す機会になりました。現在のようにグローバリゼーションが進んだ状況下では、経済危機のみならず気候変動、自然災害、感染症に伴う社会不安が瞬時に多くの国々に連鎖します。そして各国の経済社会に大きな影響を与えることが明らかになりました。

 気候変動や地球環境問題に直結する技術的課題を克服することで、温室効果ガスの削減に貢献し、従業員の職場環境の安全性も確保しながらESG経営に取り組んでいきたいと考えています。

 20年度から長期ビジョン「SNK Vision 2030」のフェーズ1(20~22年度)に入りました。コロナ禍が引き起こしたパラダイムシフトをビジネスチャンスと捉え、ESG経営を進化させていきます。

ESG経営を進めるにあたっての課題は何だと考えていますか。

夏井 企業理念の「使命」と「価値観」を社内に定着させることが大事だと思っています。既存事業を進化させて、収益力と競争力をさらに強固なものにしなければいけません。

 地球温暖化などの課題に幅広く対応するため、微粒子可視化技術を扱うビジュアルソリューション事業部をソリューション事業部に変更しました。デジタル化にスピード感を持って対応するため、21年4月にはデジタル推進室を新設しました。多様性と非連続性を前提とした組織により、さらなる飛躍を目指します。