聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

コスモエネルギーホールディングスは石油関連事業を進めるなか、2021年5月に「2050年カーボンネットゼロ」を宣言した。経営トップが関与する体制で、サステナブル経営をスピーディーに推進する。

新型コロナ感染拡大や原油価格の下落は、経営にどのような影響がありましたか。

桐山 浩(きりやま・ひろし)
コスモエネルギーホールディングス 代表取締役社長
1979年京都大学工学部卒。同年4月大協石油(現コスモエネルギーホールディングス)入社。2011年コスモ石油常務執行役員経営企画部長兼改革推進部長、15年取締役専務執行役員などを経て、16年コスモエネルギーホールディングス代表取締役副社長執行役員、17年から現職(写真:村田 和聡)

桐山 浩 氏(以下、敬称略) コロナ禍では、人の移動が制限されて国内のガソリン需要が落ち込みましたが、特に顕著だったのはジェット燃料(航空機向け燃料)の減少です。私たちにとって需要が年間5%ぐらい動くと“大事件”なのですが、前年比半減というのは初めての経験でした。

 幸いなことに、2019年度から資本業務提携先であるキグナス石油への燃料油供給が始まり、当社の石油関連の販売量は増えています。他社に比べて、コロナ禍の影響は軽微だったと言えます。

 原油価格については、絶対値は下がっていますが、大きく下落したのは20年2月から4月で、それ以降は上昇しています。産油国で原油を仕入れて日本に運んでくるまで、20日間ほどのタイムラグがあります。日本に着いた時には価格が上がっているという状況が続き、20年度決算はリカバリーできました。最終損益は20年3月期の282億円の赤字に対して、859億円の黒字となりました。

第6次連結中期経営計画で「Oil & New」の基本方針を掲げました。その進捗状況はいかがですか。

桐山 概ね順調に進んでいます。石油関連の「Oil」のトピックスとしては、アブダビ首長国で新しい探鉱鉱区を取得しました。世界が脱化石燃料へ移行するなか、石油需要はすぐなくなるわけではなく、エネルギーを安定して供給するミッションを果たすための施策と位置づけています。先ほどお話ししたキグナス石油との提携による販売量の確保は、コロナ禍に合った施策だったと思います。

 コスモ石油販売が運営するサービスステーション(SS)を魅力的にするために、全国のSSや車検工場など計605カ所(21年5月10日現在)の電力を実質再生可能エネルギー電力に順次切り替えることにしました。19年度末時点でSSでの電力使用に伴うCO2排出量は年間1万6000tですが、これが再エネ電力によってオフセットされることになります。

 石油化学事業ではより競争力を高めるべく、グループ会社の丸善石油化学とともに石油精製事業と石油化学事業を一体で運営するための取り組みを進めています。

 ガソリン販売以外のカーライフ事業を拡大するため、もともと取り組んでいたカーリースに加えてカーシェアも手掛けるなど、石油関連事業を着実に進めています。

風力発電にフォローウインド

一方の「New」はどうでしょう。

桐山 風力発電を主軸に取り組んでいます。政府が21年4月、30年までの温室効果ガス削減目標を46%(13年度比)に引き上げました。想定していた以上に意欲的な数字でした。これはうれしい誤算で、私たちにとってフォローウインド(追い風)が吹いているという印象です。

 国の計画では、洋上風力発電は毎年1GW(100万kW)ずつ増やして30年までに10GW、40年には30〜45GWにするという具体的な数字が出ています。陸上風力も30年まで毎年1GWずつ増やしていく計画です。陸上風力はわれわれの得意とするところですし、知見もあります。

 では、どうやって増やしていくのか。ネックになっていたのが、送電線の系統接続です。風力発電の適地はあるのに系統へ連携ができない。予約客はいたにもかかわらず、新たに系統接続を確保できなかったのです。