企業経営のなかでESGをどのように位置付けていますか。

桐山 かつては、まず本業があり、次にボランタリー(自主的)に環境に取り組むという位置付けが、一般的だったと思います。しかし、今はESGにきちんと取り組まなければ金融機関とのコミュニケーションも取りにくい時代です。

 カーボンニュートラルの流れを背景に金融機関が相次いで「石炭火力発電所への新規融資は原則実施しない」と発表しました。われわれの業界に同じことが起こらないとは限りません。つまり、ESGは経営の根幹であるわけです。

 20年以上前、当社は環境室を立ち上げ、私は初代室長として環境経営に取り組んできました。その後、CSR(企業の社会的責任)的な要素を広げてCSR統括部に変更し、さらに名称を変えて20年4月にサステナビリティ推進部を発足させました。女性執行役員を責任者とし、社内のマインドリセットをするために、「ドライブをかけていくぞ」という経営の姿勢を社内に示しました。

 併せて、社内体制を一新しました。サステナビリティ戦略会議を設置して、議長は社長の私が務めています。素早くサステナブル経営を推進できるようにしました。

■サステナビリティ戦略会議
■サステナビリティ戦略会議
社長が議長を務めるサステナビリティ戦略会議と実働機関としてのサステナビリティコミッティを設置
(出所:コスモエネルギーホールディングス)

「コスモらしさ」イコールESG

ESG経営を進めるうえでどのような点に注力しますか。

「ESGとブランディングを融合させていく」<span class="fontSizeS">(写真:村田 和聡)</span>
「ESGとブランディングを融合させていく」(写真:村田 和聡)

桐山 ブランド戦略との融合を考えています。コスモは、「ココロも満タンに」というコピーの認知度がとても高い。これは私たちの財産だと思っています。ブランド戦略とESGの流れがうまく一致することで、コスモらしさが「ESGの先進企業」とイコールになればいいと思っています。

50年には石油の需要はかなり減っていると予想されます。その頃にも現役で活躍している現在の新入社員に、どんなメッセージを送りますか。

桐山 業界は今後、間違いなく変化していきます。今までと同じような石油会社だという保証はないし、そう思っていられては困る。新入社員には、変革をしてほしいと言っています。グループ内で風力発電を手掛けているのはコスモエコパワーという会社です。石油から風力へ、人材のシフトをかなり進めています。成長分野にどんどん出ていってもらうことになります。

 50年にカーボンニュートラルと言っても、私は石油は残ると思っています。ハイブリッド車が残るなど、石油ビジネスがゼロになるとは考えにくい。石油需要は残り、何かでオフセットすることになるのではないでしょうか。カーボン“ニュートラル”ですから。それが今の見立てです。

 もちろん時代が進んでいくにつれてシナリオは変化していきますので、より厳しくなることもあるかもしれません。大きく変化することだけは間違いないでしょう。