瀬邊 こうした育種・増殖の技術を今後、様々な場所で展開していきたい。できればアジアでやってみたいと考えています。森林の生産性向上技術は私たちの目玉と言ってもいいものです。

■ 森林資源を基盤とした事業活動を展開
出所:日本製紙
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シマフクロウの保護に取り組む

生物多様性の保全や森林資源のサプライチェーン維持でも積極的に活動しています。

瀬邊 日本野鳥の会との協働で北海道の社有林のうち約126haをシマフクロウの保護区に指定しました。最近注目しているのが水資源です。コカ・コーラボトラーズジャパンと一緒に同社工場の水源域である群馬県片品村の当社社有林で、水源涵養のための森林管理・保全に関する普及活動に取り組んでいます。「豊かな水」を育む「健やかな森」を保つための植樹活動などを行っています。

 サプライチェーンの土台となる国内林業は機械化の遅れや働き手の減少など厳しい状況にあります。私たちの社有林をフィールドとして使ってもらって新技術の導入など、林業再生のお手伝いをしたい。

 また、苗木不足に対応するため、増殖技術を活用した苗木生産を実施しています。20年度は21万本ほど育て、21年度は24万本を生産する予定です。

日本製紙グループの今後の方向性についてお聞かせください。

瀬邊 根幹は森林資源であり、その充実は絶対に必要です。同時に事業構造を転換し、紙づくりの技術を生かしたバイオマス製品を増やしていきたい。例えばセルロースナノファイバーの実用化などです。

 そのためにも森林の生産性を上げることは重要です。そしてバイオマス製品を増やすことで、事業自体の発展とカーボンニュートラル社会への貢献に役立つと考えています。