聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

2021年5月にサステナビリティの考え方・基本方針を策定し、「気候変動への対応」など6項目のマテリアリティを設定した。アルミニウムのライフサイクルでCO2排出を抑制する技術を活用し、サステナブルな社会の実現に貢献する。

21年5月にサステナビリティの考え方・基本方針「100年後の軽やかな社会のために」を発表しました。

石原 美幸(いしはら・みゆき)
石原 美幸(いしはら・みゆき)
UACJ 代表取締役社長兼社長執行役員
1981年住友軽金属工業株式会社入社。同社執行役員・生産本部副本部長を経て、2013年UACJ執行役員・生産本部名古屋製造所長などを歴任。18年6月より現職(写真:村田 和聡)

石原 13年に住友軽金属工業と古河スカイが経営統合して誕生したUACJグループは、20年2月に企業理念を「素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」と再定義しました。

 この理念を実現する方向性として示したのが、サステナビリティの考え方・基本方針です。創業以来120年にわたりアルミニウムの製造・加工に関わる中で培ってきた英知と情熱を受け継ぎつつ、社員の多様な個性を生かし、ステークホルダーの皆さんと共に持続可能な社会の実現を追求したいと考えています。軽量で熱伝導性が高く、環境負荷を減らす素材であるアルミニウムが作り出す世界を「軽やか」と表現しました。私自身も大好きな言葉です。

永遠に循環するアルミニウム

ビジョンの中で6項目のマテリアリティと、それに関連する4項目のSDGsを特定しました。プロセスや選定理由を教えてください。

石原 マテリアリティは約2年かけて設定しました。19年から経営層と各現場の社員で構成するワークショップを開催し、UACJグループに関わりの深い社会課題の中から「UACJにとっての重要度」と「ステークホルダーにとっての重要度」の2軸で項目を絞り込みました。特定したマテリアリティにひも付くSDGs優先課題も定めました。外部有識者の意見も取り入れ、海外でもヒアリングを開催しました。最終的に取締役会を経て、マテリアリティの6項目とSDGsの4項目を決定しました。

■ワークショップを国内外で開催
■ワークショップを国内外で開催
■ワークショップを国内外で開催
優先的に取り組むべきマテリアリティを特定するため、国内外で経営層と各現場の社員が参加するワークショップを開催
(出所:UACJ)

 筆頭に挙げたマテリアリティが「気候変動への対応」です。アルミニウムは製造段階で多くの電力を使いますが、ライフサイクルを通じて省エネ・省資源を実現し、CO2排出抑制に貢献します。リサイクルを徹底すればほぼ永遠に循環する素材でもあり、気候変動への対応に事業活動の重点を置くべきだと考えました。

 グローバルに事業展開する企業が向き合う課題として設定したのが、「人権への配慮」です。当初は候補に入っていなかったのですが、海外の従業員によるヒアリングで真っ先に挙がった項目だったことから、取り入れることになりました。

■マテリアリティの関係図
■マテリアリティの関係図
出所:UACJ
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