聞き手/桔梗原 富夫(日経BP総合研究所 フェロー)

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が「夢のある豊かな社会」に向けた中期経営計画を発表した。企業理念・マテリアリティ・中期経営計画をつながるひとつのストーリーで事業を成長させていく。

新型コロナウイルス感染拡大で大変な状況の中、2020年6月に社長に就任され、21年3月期は最高益を達成されました。

柘植 一郎(つげ・いちろう)
柘植 一郎(つげ・いちろう)
伊藤忠テクノソリューションズ 代表取締役社長
1958年生まれ。1980年慶應義塾大学経済学部卒業、伊藤忠商事入社。伊藤忠インターナショナル会社生活資材・化学品部門長、伊藤忠商事紙パルプ部長、執行役員生活資材部門長、ベルシステム24ホールディングス代表取締役社長執行役員CEOを経て、2020年6月より現職(写真:村田 和聡)

柘植 一郎 氏(以下、敬称略) コロナで打撃を受けている業種やお客様もあります。当社は在宅勤務が急速に拡大したことで、関連需要を取り込むことができて、大きな影響はありませんでした。

 今、潮目が大きく変わってきていると感じています。ESGやSDGsについて、個人も企業もより真剣に考えるようになってきています。さらに、20年から21年にかけて、当社の顧客も含めてDXへの取り組みが急速に進んでいます。そうした動きを見ていると、会社と個人の関係が対等化してきていると感じます。今までは会社の考えに従うことが慣例となっていることもありましたが、SNSなどで個人の考え方や価値観を発信できるようになった今、会社としても多様な考え方を認めなければいけなくなっています。

 一方で、技術革新のスピードはさらに加速しています。それが相乗効果となって、潮目の変化が生まれていると考えています。

21年4月に新しい中期経営計画を発表されました。意識したポイントをお聞かせください。

柘植 企業理念とマテリアリティ(重要課題)、中期経営計画がつながるひとつのストーリーだということを強く意識して策定しました。21年度から3カ年の中期経営計画では「Beyond the Horizons~その先の未来へ~」の下に、「Accelerate:これからの豊かさを創る」「Expand:今の豊かさを拡げる」「Upgrade:実現可能性を高める」の3つの基本方針があります。その中に、それぞれ3つの重点シナリオがあって、全体としては合計9つの重点シナリオがあります。これらは疎結合のように独立しつつ緩やかに連携しています。

このような形にした背景について教えてください。

柘植 環境が大きく変化している昨今、変化対応力が落ちると競争力を強化することができません。社員全員が変化に敏感になることが必要で、そのためには細かく指示していたのでは間に合いません。ですから、会社として大きなフレームワークを示し、現場では9つのシナリオを整理して、取り組みを進めていくようにしたいと考えました。営業利益率など3年後の定量目標も掲げていますが、できる限りシンプルにして、細かい数字は並べ立てないようにしました。

■ CTCグループの企業活動は、社会的成果に帰結する
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出所: 伊藤忠テクノソリューションズ
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