聞き手/田中 太郎(日経ESG経営フォーラム事業部長)

投資先を厳選し、「深く、太く、長く」日本企業に投資する。建設的な対話で信頼関係を構築し、価値創造を支援する。

投資方針について、詳しくお聞かせいただけますか。

石塚 愛(いしづか・あい)
石塚 愛(いしづか・あい)
いちごアセットマネジメント 執行役員・パートナー
慶応義塾大学経済学部卒業後、モルガン・スタンレー証券などを経て、2008年いちごアセットマネジメント入社。12年より現職。チヨダ社外取締役、未来の企業価値研究会の共同代表も務める(写真:GOTO AKI)

石塚 愛 氏(以下、敬称略) いちごアセットマネジメントは、日本株投資に特化した独立系の投資顧問会社です。2006年に社長のスコット・キャロンが日本に長期投資を根付かせ、投資を通じて社会貢献することを目的に創業しました。創業時は運用資産20億円からスタートしましたが、おかげさまで、22年には1兆円の規模に成長しました。

 企業に投資するに当たり、3つの理念を大事にしています。1つは、「厳選投資」です。我々の投資額上位5社で、実は全投資額の7割を占めています。投資先を厳選しているのは、長くお付き合いさせていただくためです。この「長期投資」が2つ目の理念になります。

投資先企業と長く付き合っていくために大事にしているのは、どんなことですか。

石塚 長くお付き合いするためには、その企業のことを深く理解する必要があります。「モノを聞く株主」として、投資先企業との対話を大事にしています。我々の投資のベースは、徹底した事業分析です。その企業のことを誰よりも知っている、サポーターになりたいと考えています。

 事業への理解を深めるためなら、できることは何でもやりたい、と思っています。製造業ならば国内はもちろん、海外の工場も見学します。ハウスメーカーであれば、モデルルームにも訪問します。また、株主総会にも必ず出席し、投資先企業の経営者の方を応援しています。

 長くお付き合いしていると、経営者の代替わりも経験します。その会社の歴史やカルチャー、経営者のバックグラウンドなどをしっかり理解し、「深く、太く、長く」投資させていただきたいというのが我々の思いです。

厳選投資、長期投資に続く3つ目の理念は何でしょうか。

石塚 「社会貢献投資」です。我々が欧米の大学基金や医療財団などのアセットオーナーから資金をお預かりして、日本の企業に長期投資します。日本への長期投資は国民の資産形成への貢献となり、企業価値が向上すると、そのリターンは大学の奨学金や医療の開発基金になるなど、困った方の助成に使われる仕組みになっています。

 我々の投資によって企業が持続的に成長し、得られたリターンで社会貢献事業が広がる。そういった社会貢献の循環をつくれていることが、我々のやりがいの1つです。