聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

2021年2月に新成長戦略「TOP I 2030」を発表し、ESG経営で世界のロールモデルになるという将来像を示した。中期環境目標では長期を見据えてあえて高い目標を設定し、実現に向けた挑戦を開始した。

2021年2月に発表した新成長戦略「TOP I 2030」の概要を教えてください。

上野 幹夫(うえの・もとお)
上野 幹夫(うえの・もとお)
中外製薬 代表取締役副会長
1957年生まれ、80年慶應義塾大学工学部卒業。84年中外製薬入社、94年取締役中外ファーマヨーロッパ社長、95年取締役臨床開発本部長を経て98年常務執行役員医薬事業本部副本部長、2004年代表取締役副社長執行役員、12年より現職(写真:村田 和聡)

上野 幹夫 氏(以下、敬称略) 当社は革新的新薬を核とするイノベーションの創出を通じて、社会との共有価値の創造を経営の基本方針に据えています。地球環境問題や経済格差の拡大など、社会システムの持続性が危ぶまれる中で持続的成長を遂げるには、今まで以上に社会課題に長期的視点で向き合い、事業を進化させることが必要です。

 「TOP I 2030」では、目指すべき「ヘルスケア産業のトップイノベーター像」を具体的に示しました。そのポイントは3つです。高い創薬力で世界の患者さんから期待していただくこと、世界中の“人財”とプレーヤーを惹きつけること、社会課題解決をリードする企業として世界のロールモデルになることです。

 創薬力を大きく向上させて、まだ治療法が存在しないアンメット・メディカルニーズに応えるソリューションを継続的に提供できるよう体制を強化します。R&Dのアウトプットを倍増し、グルーバル製品を毎年上市できる会社を目指します。

具体的にどのような取り組みを進めますか。

上野 3つのキードライバーがあります。第1がResearch(研究)とEarly Development(早期開発)に集中的に経営資源を投資する「RED シフト」です。第2はデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進です。デジタルの活用によりバリューチェーン全体で生産性の向上と製品価値を拡大させます。画期的な新薬をいち早く市場に投入します。第3はオープンイノベーションです。アカデミアやスタートアップなどとの連携を推進します。

■2030年に中外製薬が到達を目指すトップイノベーター像
■2030年に中外製薬が到達を目指すトップイノベーター像
出所:中外製薬
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