聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

アジアを中心に18拠点を展開し、「ビジネス法務のパイオニア」として活動する。700人超の国内外の弁護士が柔軟な発想を持ち、フレキシブルなチームアップで対応する。

「ビジネス法務のパイオニア」として、アジアを中心に国内外で法務サービスを提供しています。

小口 光(おぐち・ひかる)
小口 光(おぐち・ひかる)
西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士
1998年入所。2002年から2年の米国留学を経て、JICAラオス法整備/ベトナム競争法プロジェクトに参加後、外務省国際協力局政策課課長補佐。10年ベトナムオフィス開設以来、アジアプラクティスを牽引、日系企業の海外事業展開を投資検討段階から戦略的撤退まで幅広くサポートする。D&I推進委員会メンバー(写真:大槻 純一)

小口 光 氏(以下、敬称略) 1966年、当時日本では新しかった国際企業法務を担う西村法律事務所が設立されました。2004年に倒産・事業再生で実績を持つときわ総合法律事務所、07年にあさひ法律事務所の国際部門が統合して現在に至ります。当初から社会インフラの1つである法律事務所として、時代のニーズに柔軟に応えるべく、その時々の社会需要に適した組織を目指してきました。

 この10年を振り返ってみれば、10年の北京(中国)、ホーチミン(ベトナム)の海外拠点設置に始まり、現在では国内外18拠点、20を超える国や地域の資格者を擁し、加盟する国際組織を通じて100以上の国や地域をカバーしています。700人以上の弁護士・外国弁護士が所属しており、その数は日本最大です。税理士や弁理士、その他スタッフを含めると総勢1600人に上ります。

地域や分野を越えてチームアップ

西村あさひ法律事務所の強みを教えてください。

小口 直面する課題に対して、素早く柔軟に対応できることです。

 優先すべき法務課題が週単位でめまぐるしく変化していく中で、アジア事業にも欧州や米国、オーストラリアなどの法令の影響が直接的・間接的に即時に及びます。デジタル化の進展などにより産業分野・国家間の垣根が取り払われています。

 こんな時代だからこそ、地域を越えて事業分野や法務分野を瞬時につなぎ、複合的に検討して解決することが必要です。日々、分野や拠点を超えて、各プラクティスのメンバーでチームを組んで対応しています。

 例えばミャンマー問題であれば、クーデターの発生直後からミャンマーの専門家、通商・安全保障貿易管理、危機管理の各プラクティスメンバー、在米の弁護士らがオンライン会合を開き、情報を更新しています。

企業経営の中でESGの重要度が増しています。どのような相談が増え、どう対応していますか。

小口 ESGは非常に広い分野にわたる基本的な課題なので、各チームが精力的に取り組んでいます。クライアントのポリシー策定、委員会設置などの制度設計、苦情処理メカニズム構築への助言、コーポレートガバナンス・コード改訂への対応、開示書類の検討などを行っています。

 株主提案への対応、NGOとの対話のサポート、ESG投資などファイナンスに関連したアドバイス、アジアにおけるサプライチェーン上の人権リスクを把握し情報を開示する「人権デューデリジェンス」を含め、事実関係調査の設計や調査サポートにも力を入れています。