小口 M&Aの際に対象となる企業の価値やリスクを把握するための法務デューデリジェンスに加え、ESGの観点からのデューデリジェンスについての助言も行います。

 日本におけるESGへの関心の高まりを受け、各分野の弁護士が勉強会や講演などに参加する機会も増えています。各種ガイドラインの策定過程でコメントさせていただくことも多くなっています。

出所:西村あさひ法事務所
出所:西村あさひ法事務所

協力的な関係で調査を進める

人権デューデリジェンスについてお話がありました。それを進めるうえでの留意点を教えてください。

小口 サプライチェーン・デューデリジェンスは、対象となる企業の内部組織に加えて、直接的・間接的な取引先、地域住民など、非常に幅広い領域を対象にしています。

 情報収集は関係者や外部機関などの協力を得ながら進めます。「審査する」といった緊張関係ではなく、協力的な関係で行う方が効果的です。

 現地の言葉で丁寧に趣旨を説明し、下請け先のコンプライアンス体制、労働環境改善などについてもアドバイスを求められます。アジア各国のチームメンバーとともに、細心の注意を払いながら対応しています。

世界のESG潮流の中で、日本企業が注力すべき点は何でしょう。

小口 ESGは既存の複数部署や分野をまたぐ横断的なテーマですから、企業内はもちろん外部も巻き込んで達成することが重要です。私たちはその接続点としてお手伝いができればと考えています。

 SDGsは極めて重要な課題です。しかし、それをどのような手法で達成するかは、個々に検討と工夫があってしかるべきでしょう。目標自体はグローバルで共通でも、それを達成する手法は様々です。

 私は、日本は欧州発の手法を形式的にキャッチアップするのではなく、各企業が持つ付加価値を生かす形で課題を達成するような仕組みが必要だと考えています。キャッチアップするという発想だと、個々の状況が反映されず、思考が硬直化しがちです。日本企業の強みを踏まえた手法で課題を達成するために、私たちも力を尽くしていきたいですね。