聞き手/:杉山 俊幸(日経BP 総合研究所主席研究員)

2026年稼働を目指し、使用済みリチウムイオン電池や水素システムの情報追跡のシステム構築を進める。自動車の資源循環に関する情報プラットフォームを立ち上げ、蓄積してきた知見を世界で生かす。

事業内容を教えてください。

阿部 知和(あべ・ともかず)
阿部 知和(あべ・ともかず)
自動車リサイクル促進センター(JARC) 代表理事・専務理事(COO)
1959年東京都生まれ。84年出光興産入社。2000年ホンダエンジニアリング入社、09年車体研究開発部長、10年塑型技術部長、13年本田技研工業環境リサイクル推進室長、17年資源循環推進部長、19年より自動車リサイクル促進センター専務理事、20年より現職(写真:大槻 純一)

阿部 知和 氏(以下、敬称略) 循環型社会の実現を目的として2002年に制定され、05年1月に施行された「自動車リサイクル法」に基づき、自動車リサイクルの環境整備に努めています。ユーザーからお預かりするリサイクル料金の管理・運用と、使用済み自動車から回収したシュレッダーダスト(ASR)、エアバッグ類、フロン類の3品目がリサイクル・処理される工程の情報管理をすることが主な業務です。

情報管理のためのシステムはどのようなものですか。

阿部 実はかなり大規模なもので、主要な地方銀行と同程度の情報システムです。1日に数万件のデータを処理しています。委託するシステム会社は入札によって選びます。現在は日立製作所製で、ちょうど22年末に26年の稼働を目指す新システムの入札を予定しており、現在、要件定義を進めています。

 新システムでは3品目以外の管理も可能な構造とします。電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)に搭載されるリチウムイオン電池や水素システムなど、リサイクル過程に回ると危険なもの、回収した方が良いものの情報を入手します。

 レアアースを含むリチウムイオン電池は貴重な「都市鉱山」ですが、使用済み自動車から取り外した後の追跡ができていません。欧州や中国は使用済み電池の追跡を始めています。日本も貴重な資源の海外への流出を防ぎ、国内で適切に回収・再利用する仕組みをつくることが必要です。

99%以上のリサイクルを実現

自動車リサイクルの実績について、どのように評価していますか。

阿部 制度の本格稼働によって不法投棄は大幅に減り、リサイクル率も向上しました。現在は使用済み自動車全体で99%以上のリサイクルを実現しています。主な要因はASRのリサイクル率向上で、05年度の約60%から20年度には96.1%まで上昇しました。ASRをセメント原料として活用することによりリサイクル率の向上が進められています。

 日本の自動車リサイクルの仕組みは、海外からも「ジャパンモデル」と呼ばれて評価されています。

■ 自動車リサイクルの全体フロー図
■ 自動車リサイクルの全体フロー図
出所:自動車リサイクル促進センター
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