聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

2014年の経営統合で誕生した配合飼料大手が、中期経営計画でESG経営の推進を打ち出した。環境負荷を減らしつつ家畜や魚の生産効率を保つ、配合飼料の研究開発を進める。

フィード・ワンの事業概要を教えてください。

山内 孝史(やまうち・たかし)
フィード・ワン 代表取締役社長
1980年三井物産入社。2012年4月三井物産食品事業副本部長を経て、同年6月日本配合飼料代表取締役社長に就任。14年協同飼料と日本配合飼料が経営統合し、フィード・ワン代表取締役社長に就任(写真:大槻 純一)

山内 孝史 氏(以下、敬称略) 配合飼料の製造事業を手掛けています。柱となるのは畜産飼料、水産飼料、食品事業、海外事業の4つです。コア事業は畜産飼料で、売上高・利益の約8割を占めています。

 配合飼料は食のバリューチェーンにおいて最も川上に属します。飼料なくしては卵も肉も魚も流通しません。私たちは、「Feedをはじめの一歩として、畜・水産業界の持続的発展に貢献し、食の未来を創造します」という経営理念を掲げています。安定的に安心・安全な配合飼料を提供することによって、食品の製造に貢献しています。

 コロナ禍で外食需要は低迷していますが、家で食べる食品の需要が増えました。全体として当社の経営は大きな影響は受けていません。

2021年5月に発表した第3次中期経営計画のポイントは何ですか。

山内 フィード・ワンは14年、飼料製造大手の協同飼料と日本配合飼料が経営統合して誕生しました。その際に描いた「10年後のあるべき姿」に向けて、第1次中計では統合と経営基盤の確立を、第2次中計では事業基盤のさらなる強化を進めました。

 第3次中計では経営統合の総仕上げをします。重点戦略に据えたのが「ESG経営の推進と基盤強化」です。ESGやSDGsへの貢献を念頭に、環境に配慮した飼料の研究開発に注力します。

企業経営の中でESGをどのように位置づけていますか。

山内 飼料事業は原料調達から製造、農場、畜・水産物への加工まで、自然資源に依存することで成り立っています。資源を無駄なく効率的に活用しなくては、企業自体の存続も危ういという認識を持っています。ESG経営の推進は当社の成長や業界の発展に不可欠です。

賞味期限切れの弁当を原料に活用

具体的な取り組みを教えてください。

山内 飼料メーカーは、もともと食品製造時に発生する大豆油かすや菜種かすなどの副産物を利用する、環境にやさしい業種です。当社はコンビニの賞味期限切れの弁当なども選別・乾燥して活用しています。

 水産資源の保全にも取り組んでいます。乱獲による個体数の減少で絶滅危惧種となったクロマグロについては、30数年にわたる研究の末、完全養殖を実現しました。17年に関連会社から出荷を始めています。