女性活躍へ採用拡大

女性管理者比率の数値目標も打ち出しました。今後どのように取り組んでいきますか。

「所得が増えれば地域も活性化する」(写真:大槻 純一)
「所得が増えれば地域も活性化する」(写真:大槻 純一)

女性管理者比率は20年3月末時点で6.2%です。これを30年までに13%、40年までに30%にする目標を掲げました。

 この目標達成は、正直なところ相当なチャレンジだと思っています。本当は30年30%としたかったのですが、現状を分析するとそれは難しいということになりました。

 現時点で役員比率はもちろんのこと職員比率自体も女性は少ないですし、応募比率も採用比率も少ない。その理由の1つとして、農林中金は全国に店舗があり、採用する際に転勤が前提になっていることが挙げられます。

 私は潜在的には食料などにも関わる農林水産業の訴求力は女性に対してあると思っています。転勤しなくてもいい選択肢を含めた人事施策をきちんと出していかなければならないと考えています。

 それに農林中金のイメージも機関投資家、資金運用といった面がまだ強い。食農ビジネスへの取り組みなどもしっかりと発信していく必要があります。

 まずは入り口のところから広げて女性管理者比率を高めていきたいと思っています。

仲介機能を幅広く果たす

中長期目標は、GHG排出量削減と並んで「農林水産業者所得の増加」を掲げています。

農林水産業の所得は天候によって大きく左右されますので、金融機関が追いかける目標としては実はなかなか厄介なテーマです。

 しかしそうは言っても、私たち農林中金が取り引きさせていただいている農林水産業者の付加価値や所得を上げていくことにはしっかりと取り組んでいかなければなりません。

 ESGのS(社会)について考えると、農林水産業者の所得が増えれば新規にやってみたいと思う人も増えるでしょう。それによって地域人口が少し増加し、地域の活力が上がって、ビジネスが生まれるかもしれません。

 例えば北海道でリモートワークを行い、月に1、2度だけ会議で東京に出てくる。そんな社会が実現すれば子育てを含め豊かな生活が送れるようになるのではないでしょうか。そのためにも北海道で農林水産業から基礎収入が得られるようにすることが大切です。夢物語かもしれませんが、そんなイメージを描きながら取り組んでいます。

 農林水産業者所得の増加をキックスターター(エンジンを始動するためのキック)にして地域を循環的に活性化していく。難しいテーマではありますが、農林中金が農業法人などに対してコンサルティングを行ったり、広い意味での金融仲介機能を発揮したりしていきたいと思います。

■ 農林中央金庫の中長期目標
■ 農林中央金庫の中長期目標
温室効果ガス(GHG)排出削減量やサステナブル・ファイナンス実行額など中長期目標を定めた
(出所:農林中央金庫)
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パーパスと中長期目標を策定されましたが、今後どう進めますか。

まずはCO2削減と農林水産業者所得の増加を実現するため、どういう数字で追いかけていくか。21年に1年かけて作り込んでいきます。

 そして実行するときはPDCAサイクルを回すという決まりきった考え方ではなく、大きな目標に対していろんな取り組みを行い、そこからどう教訓を引き出していくか。そんなアプローチを考えています。

 必ずしもリニアな線が描ける話だとは思いません。目標に向かって進み、やってみてよくないことは改善しながら、先へ進んでいくしかありません。