ステークホルダーからは、事業エリアを拡大し、新しい価値を提供していくことを期待されています。

西川 私は20年に社長に就任した際、当社の事業領域の広さを強みに変えようと、グループ内にメッセージを発信しました。数ある事業の中には、まだ利益貢献できていなかったり、知名度が低かったりする事業もあります。30年に向けてどのように成長させていくかを考えています。

 そのためにも事業ポートフォリオの再編が必要です。共通の定量・定性評価基準で各事業をマネジメントして、収益性と効率性を向上させます。それぞれの事業を「推進」「修正して推進」「抜本的な再構築」に分類し、25年度に向けて数値目標を盛り込んだ中期計画を策定します。

■GROUP VISION 2030の全体像
■GROUP VISION 2030の全体像
出所:東急不動産ホールディングス
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お客様の声を起点に事業開発

ホールディングカンパニーとして、事業会社とは違ったグループ経営の難しさがあると思います。

西川 コロナ以前、不動産業界は事業環境の良い時期が長く続きました。極端に言えば、売り上げや利益目標を設定して、達成できているかを管理すればグループ経営が成り立つような部分もありました。

 ところが、コロナ禍で構造的な変化が起こり、今までと同じでは事業を続けられなくなってきたのです。

 例えば、オフィス事業の在り方も大きく変わりました。事業領域の広さを生かしてオフィス向けに横断的なサービスを提供するにしても、従来のように事業会社ごとに進めていたのでは良いものはできません。

 サテライトオフィスやコミュニティースペースなど各社が事業を持ち寄り、持ち株会社である当社が司令塔となって横串でサービスを展開するといった工夫が必要です。

 今後の不動産業は、当社のような開発会社が企画開発をして不動産を提供するという従来のやり方から、お客様の声を吸い上げて開発に生かすというスタイルに変わっていくでしょう。都市の再開発なども大きく変わるはずです。コンシューマー向け事業をはじめ幅広い事業領域を抱える当社が、そのメリットを生かさない手はありません。

 事業構造を柔軟に変えていく中で、将来的には社名の「不動産」という言葉が事業の足かせになることさえあるかもしれません。