聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を果たし、満足度を高める。人権の尊重、環境と社会的責任、良質なガバナンスの3つ基盤で、サステナビリティ戦略を推進する。

コンプライアンス、サステナビリティ、総務の3部門を担当されています。どんな考えで取り組んでいますか。

山下和人(やました・かずひと)
日本たばこ産業 取締役 専務執行役員
1986年日本たばこ産業入社、2007年たばこ事業本部渉外企画部長、10年執行役員たばこ事業本部渉外責任者、15年常務執行役員たばこ事業本部中国事業部長、19年より現職。コンプライアンス、サステナビリティマネジメント、総務を担当(写真:村田 和聡)

山下 和人 氏(以下、敬称略) 当社は前身が日本専売公社だったことから、「公共のために尽くす」という傾向が強く、以前からCSRに力を入れてきました。世の中の期待がサステナビリティというコンセプトに向けられている現在、サステナビリティをガバナンスの中にしっかりと組み込み、会社の根幹として位置付けることが必要です。

 たばこという商品は世の中から厳しい目で見られていますが、サステナビリティを経営の中枢に据え、社員が胸を張って働ける環境を整えることが私の役割だと思っています。

 IR関係のミーティングで投資家の皆さんと対話させていただくと、「サステナビリティに取り組むのは当たり前。それを考えていない企業は社会への参加資格がない」かのように言われます。世の中が急激に変化していると実感しています。

JTグループの経営理念として「4Sモデル」の追求を据えています。4Sモデルについて教えてください。

山下 4Sモデルの追求とは、「お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく」という考え方です。

 1985年に民営化された当時から、経営陣は、「この会社は何のために存在するのか」と議論を重ねてきました。そして96年に「4Sモデルの追求」という経営理念が確立しました。この考えの中から一例として社員の満足を高める取り組みとして管理職に立候補する「ジョブマッチング制度」も生まれました。現職が任期延長へ立候補して合格することもあります。買収した海外法人に裁量を持って動く経営文化が定着してグローバル化も進んでいます。

■JTグループの経営理念「4Sモデル」
お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく
(出所:日本たばこ産業)