聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」で環境問題と社会課題の解決を目指す。大切なのは人の心に働きかけること、情動性を意識しながら環境配慮型商品の開発に取り組む。

中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」を2020年10月に公表されました。

高原 豪久(たかはら・たかひさ)
ユニ・チャーム 代表取締役 社長執行役員
1961年愛媛県生まれ。86年成城大学経済学部卒業。同年4月三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。91年ユニ・チャーム入社、95年取締役、97年常務取締役、2001年代表取締役社長、04年より現職(写真:村田 和聡)

高原 豪久 氏(以下、敬称略) 当社は21年、創業60周年を迎えました。企業は時代に合わせて変わっていくべきで、それをけん引することが経営者の役割だと思っています。環境問題や社会課題に対する社員の意識を変えるための起爆剤として、ESGは有効です。

 今、「共生社会」の実現に寄与するために環境問題や社会課題の解決に取り組んでいます。その際に大切なのは利他の心だと、私は考えています。新型コロナウイルスのパンデミックにおいて、国は国益を重視しますが、企業は様々な境界を越え、国益に縛られることなく利他の心を持って活動しています。

 私たちが目指す「共生社会」では、人々が自立し、互いに助け合うことで、自分らしく暮らしていける。そんな社会の実現に向けて、あらためて企業の可能性を感じています。

「Kyo-sei Life Vision 2030」の策定に当たり、社内外の評価を取り入れたのは先進的な試みです。

高原 多くの文献から関わりのある社会課題など513項目を抽出し、それを44項目に整理しました。自社の視点で評価するために、取締役、執行役員らグループ全体の約900人に調査を行いました。さらにステークホルダー視点で評価してもらうために56団体に調査を依頼して、32団体から回答を得ました。

 その後、執行役員によるSDGs勉強会やワークショップを開催し、50年に想定される社会像や目指すべき方向性について意見を集約してビジョンをまとめました。

 ちなみに当社には私を含め27人の執行役員がいます。執行役員は個々に「Kyo-sei Life Vision 2030」に紐づいた取り組みテーマを設定し、その成果は評価要素となります。

■「Kyo-sei Life Vision2030」の重要取り組みテーマ
※「NOLA & DOLA」はユニ・チャームの理念。「NOLA」は「生活者が様々な負担から解放されるよう、心と体をやさしくサポートする」、「DOLA」は「生活者一人ひとりの夢を叶えることに貢献する」ことを指す
(出所:ユニ・チャーム)
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