クレハの経営の中でESGをどのように位置付けていますか。

小林 企業は社会の公器ですから、社会にとってなくてはならない企業でありたいと思っています。一方で、株主を含めたステークホルダーから評価される企業でなくてはなりません。

 当社はCSR活動に積極的に取り組んできており、その経験から守りと攻めの両方が重要だと考えています。守りとしてCO2排出削減、廃棄物のゼロ化に取り組む一方で、新たな知見や技術開発によるビジネスの創出で攻めも実現していきます。

■クレハグループの価値創造
■クレハグループの価値創造
出所:クレハ
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脱炭素の定量目標と具体策詰める

クレハが進めるESG経営は、ステークホルダーやマーケットから支持されていると考えていますか。

小林 PVDFは電気自動車に必須の素材で、機械強度や耐熱性に優れるポリフェニレンサルファイド(PPS)は自動車の軽量化に役立っています。ラップ材料は食品ロスの軽減に貢献しています。有害な化学物質を吸着する素材の用途拡大など、当社の事業はESGの視点から社会に役立っていると自負しています。

 ただ、当社はメイン工場で火力発電を使用しており、そこで発生するCO2の排出削減にどう取り組むかが課題となっています。21年4月に研究開発本部にカーボンニュートラルコミッティを立ち上げ、23年度の新中計発表の際に定量目標と具体的な施策を公表したいと考えています。

今後の展望をお聞かせください。

小林 先進国は50年カーボンニュートラルという方向性で合意していますが、今の延長線上にそれを達成するシナリオはないと思っています。国と民間企業が知恵を出し合い、なんとしてもイノベーションを実現しなければなりません。