聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

不動産業界初のサステナビリティボンド(資金を環境・社会の持続可能性に貢献する事業に使う債券)を発行。調達した資金を活用し、“八日京”エリアの社会課題解決とイノベーション・エコシステム構築を進める。

2020年7月に不動産業界で初めてサステナビリティボンドを発行しました。どんな狙いがありますか。

小澤 東京建物は20年2月、30年頃を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を策定し、「社会課題の解決」と「企業として成長」を高次元で両立するという将来像を掲げました。2020~24年度を対象とする中期経営計画では、東京・中央区八重洲・日本橋・京橋の“八日京”エリアで大規模再開発事業を核に社会課題の解決に貢献する街づくりを進めることを盛り込んでいます。

 当社は19年3月に国内初(不動産業界では世界初)のグリーン・ハイブリッドボンドを発行し、環境省が創設した「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」にて環境大臣賞を受賞しました。それに続いてサステナビリティボンドを発行することで、当社のサステナビリティへの姿勢がより認知されると考えました。

上位格付けと並ぶ条件で発行

発行したサステナビリティボンドの概要を教えてください。

小澤 克人(おざわ・かつひと)
東京建物 取締役常務執行役員
1964年生まれ。87年東京建物入社。2007年RM事業部長、09年東京リアルティ・インベストメント・マネジメント取締役財務部長、12年東京建物企画部長、15年執行役員企画部長を経て、17年1月常務執行役員に就任。同年3月より現職(写真:村田 和聡)

小澤 調達資金の使途が社会課題の解決に役立つというソーシャル性と、環境改善効果があるというグリーン性を満たすボンドです。今回、当社が発行したサステナビリティボンドは、個別のグリーンビルにとどまらず、社会性・環境性両面から八日京エリアの街づくりに資する一連のプロジェクトを束ねた資金使途となっており、過去に例のない国内初の試みです。ボンド発行に当たって、資金使途を市場に開示し、当社が、「何を考え、何をやろうとしているか」をアピールする機会が得られたことは非常に有意義でした。

反響はいかがですか。

小澤 当社がサステナビリティボンドを発行したのは、新型コロナウイルス感染症に対応した金融支援で、日本銀行が社債の買い入れを実施していた時期です。当日の発行本数は56本、発行総額は1兆2620億円と過去最多でした。

 当初、5年債と10年債で100億円ずつ計200億円ほどの調達を想定していましたが、当社のサステナビリティボンドは最終的に200億円ずつ計400億円の調達になりました。国内一般事業会社が発行するサステナビリティボンドとしては最大発行額を実現。ボンドの格付けは「Aマイナス」ですが、「Aプラス」「Aフラット」といった格上けが上位のボンドと遜色のない条件で発行できました。ESGに興味を持ち、積極的に資金を投下したいと考える投資家の需要をつかめたのだと思います。