聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

創業家から経営を託され、社会から評価され、社員がプライドを持って働ける会社へと改革を進める。インクルーシブ、サスティナブル、エンジョイアブルという3つの社会的価値の実現を目指す。

2020年5月、長期ビジョン「DESIGN 2030」を発表しました。

安田 正介(やすだ・しょうすけ)
安田 正介(やすだ・しょうすけ)
サンゲツ 代表取締役社長執行役員
1973年一橋大学経済学部卒業後、三菱商事入社。2004年三菱商事執行役員機能化学品本部長、08年常務執行役員中部支社長、12年顧問、サンゲツ取締役就任、14年代表取締役社長、16年より現職(写真:上野 英和)

安田 正介 氏(以下、敬称略) 当社は江戸時代の1849年に表具屋「山月堂」として創業したことに端を発します。壁紙やカーペットのような床材、カーテンなど内装材全般を1万2000点あまり扱い、それぞれの分野で大きなシェアを持っています。創業家が代々経営して日本の経済成長に従って大きく伸びましたが、経営者の高齢化とともに売上高や利益は横ばいになりました。

 私は2012年に社外取締役になり、創業家からもう一度大きく成長する企業にしてほしいという要望を受け、14年に社長に就任しました。以来、取締役会の構成から資本政策、海外企業の買収など今までのやり方を変革してきました。

 過去を変えるだけでは、新しいものは何も生まれません。単にモノを販売するだけでなく、空間創造に重要なデザイン・配送・施工などを活用することで「材料・施工の販売」と「空間の販売」を事業活動とするスペースクリエーション企業に向けてビジネスモデルの転換を図っています。

 デザインや施工などサービス分野は景気や昨今の新型コロナ感染症のような社会情勢に業績は大きく左右されます。一方、内装材販売は景気変動が少なく安定している代わりに大きな成長もない。両者を組み合わせた事業構造を目指すべき未来像とし、30年に向けて10年計画に取り組んでいます。

温暖化対策とリサイクル推進

実現を目指すために、3つの社会的価値を挙げています。

安田 持続可能な社会の前提は、多様な人々が互いに個性を認めて一体感を持てるインクルージョンな状態です。その上でデザインなどを通じて空間を良くし、楽しめる社会にしたいという思いから、「平等で健康的なインクルーシブ」「地球環境を守るサスティナブル」「より豊かでエンジョイアブル」という3つの社会価値の実現を目指します。

 SDGsには誰一人取り残さないという理念があります。内装に携わる当社らしい社会参画として、予算の問題などで快適な内装空間を整えることが難しい児童養護施設の改装活動などを行っているのも、そうした考えからです。

■ 長期ビジョン【DESIGN 2030】達成へのアプローチ
■ 長期ビジョン【DESIGN 2030】達成へのアプローチ
出所:サンゲツ
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