温室効果ガス削減の取り組み状況はいかがですか。

安田 サンゲツ単体の同排出量は年間6233t(20年度)で、節電や空調設備の更新、グリーン電力の活用などを進めていますが、それほど大きな排出量ではありません。連結では壁紙メーカーなどもあるため8万4595t(16年度)になります。一方スコープ3では、膨大な量の内装材を仕入れているため、サプライチェーン排出量は23万t(19年度、原材料調達を除く)で、当社にも大きな責任があると考えています。ゼネコンもハウスメーカーもこうした点を重視し情報提供を求めてくるようになってきました。仕入れ先には、価格や品質に加えてCO2原単位も購買決定の要因になると今後の仕入れ政策を説明しています。

21年3月、見本帳リサイクルセンターを開設しました。

安田 当社はカーペットやカーテン、壁紙など実際の内装材をバインダーに挟み込んだ見本帳を年間約25億円かけて150万冊発行しています。代理店経由で施工会社にわたり、顧客が見本帳の中から商品を選ぶことに使われる重要なビジネスツールです。

 ただ、紙だけでなく金属部分や様々な素材の内装材が組み込まれているので分別が難しく、大半は産業廃棄物として処理されているのが実情です。事業活動の環境負荷低減を進める上で、見本帳の回収とリサイクルは大きな課題でした。

 そこで営業員が回収した使用済み見本帳を自社内で分解し、素材のリサイクルを中心とした資源循環を目的に見本帳リサイクルセンターを開設しました。21年度は年間13万冊程度の回収のうち5万冊、22年度は13万冊をリサイクルしていきます。温室効果ガス排出量の削減は大切な問題ですが、見本帳の回収・リサイクルは当社のビジネスに直結する重要な課題です。

ESG経営をどのように位置づけていきますか。

安田 以前はガバナンスが足りなかったり、いろいろな問題を抱えていたりしてESGから遠い内向きの企業だったのも事実です。ただ、私は会社というものは社会から評価され、社員がプライドを持って働けるようにする必要があると考えています。

 短期的にみるとESGは収益に直接結びつかないかもしれません。しかし、ESGにしっかりと取り組んでいて社員が誇りに思うことができ、結果的に長期的な収益につながるような組織に変えていくことが私の責任です。