聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

様々な力を結集しようと統合報告書で「Sustainability Power」という言葉を掲げた。コロナ禍で足元では厳しい事業もあるが、引き続き多様な製品群を提供し、社会で役割を果たす。

2019年度の統合報告書に「Sustainability Power」という言葉を掲げた思いを聞かせてください。

寺本 克弘 氏(以下、敬称略) 社会をサステナブルにするために我々がなすべきことは、ステークホルダーと一丸となり、様々な分野の力を結集することです。対話を通して我々が持つ顕在的・潜在的な力を高め、発揮していこうという思いでこのテーマを打ち出しました。

ESGの推進に知恵結集

SDGsやESGにはどういう意識で向き合っていますか。

寺本 克弘(てらもと・かつひろ)
ナブテスコ 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)
1955年兵庫県生まれ、79年東京大学経済学部卒業。同年神戸製鋼所に入社。2007年ナブテスコ入社、11年6月執行役員、11年10月住環境カンパニー副社長兼計画部長、13年2月企画本部副本部長兼企画部長、15年6月代表取締役常務執行役員、企画本部長を経て17年3月より現職。写真はオフィスのカフェで撮影(写真:村田 和聡)

寺本 SDGsやESGは世の中に突然出てきた特別なものではありません。私たちは昔から電気をこまめに消したり、ゴミの分別をしたり、災害時に寄付をしてきました。企業も同じです。できる範囲で、あるいは少しストレスをかけて当然やるべき活動だと思います。

 具体的な取り組みにはボトムアップでやるもの、トップダウンでやるものがあります。最近では新型コロナウイルスの感染が拡大しマスクが不足するなか、従業員から「フェイスシールドをつくりたい」という声が挙がり実行しました。一方、私たちはこれまでに工場の屋根への太陽光発電システムの搭載や地下水を冷暖房に活用し省エネ効果を高める技術の採用などを実行しています。他社からの提案などの知恵も活用し、製品の提供以外の面でも社会に貢献したいと考えています。

どう経営資源を配分しますか。

寺本 私たちは鉄道車両用機器、航空機器、精密減速機、自動ドアなど比較的公共性が高い各分野で高い市場シェアを持つ事業を手掛けています。すべて公平に資源を投入するわけにはいきませんが、リーディングカンパニーとして公共性がある分野に関しては、簡単にははずせません。例えば、足元では航空機器事業がコロナ禍で厳しい状況です。ただ23年~24年には需要が回復するとみられています。設備投資や研究開発費を少し削るなどし、事業を最低限維持しながら我慢すべきと考えています。

 一方、自動化の進展で市場拡大が期待される産業用ロボットの精密減速機などは追いかけてくる中国勢と差をつけるために積極的な投資が必要です。コロナで非接触という観点から注目が高まる自動ドアは普及が進む欧米と日本以外の地域に出て行くべく、拠点をつくっています。

■ ナブテスコが重視する事業と見通し
航空機器
足元は厳しいものの、これからも需要は伸びると考えている
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精密減速機(産業用ロボット)
コロナ禍で「密」を避けるための、工場の自動化ニーズに適応する
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自動ドア
非接触という観点から、これからニーズが高まると想定する(写真提供:ナブテスコ)
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