聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

サステナビリティ推進部とチーフオフィサー設置でESG経営を加速させる。食品や薬品の事業推進とともに新型コロナウイルスのワクチン開発も進める。

2020年6月に新しく設置されたCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)に就任しました。役職の狙いとESGに配慮する経営の位置付けについて教えてください。

古田 純(ふるた・じゅん)
明治ホールディングス 取締役 専務執行役員 CSO
1981年明治製菓入社。2013年明治執行役員、14年より明治ホールディングス取締役、執行役員IR広報部長を経て18年常務執行役員、19年よりサステナビリティ推進部管掌、20年より現職、IR広報部管掌および明治取締役兼任(写真:村田 和聡)

古田 純 氏(以下、敬称略) ESGの取り組みを経営にビルトインして、グループ全体として強化するのが狙いです。かつてはホールディングスと各事業会社が連携をとりながらそれぞれにCSRを推進していましたが、19年10月に明治ホールディングスにサステナビリティ推進部を新設し、グループ一体となって推進する体制ができあがりました。

 食品と薬品では業界によって、環境負荷低減のKPIも異なります。CSOはグループ全体で統一感を持ってESG経営を進める役割と認識しています。

具体的にどのような取り組みを進めていますか。

古田 企業価値は財務諸表で評価されがちですが、ESGへの取り組みも重要になってきています。一橋大学大学院の伊藤邦雄先生が新しい統合指標として、ROE(自己資本利益率)とESGを連携させた「ROESG」を提唱しています。21年以降、ROESGのような、財務と非財務を融合したKPIを新しく設定して、役員報酬にも反映させていきたいと考えています。

26年に向けたビジョンを18年に策定しましたが、進捗はいかがですか。

古田 この2年間で、社会の変化に合わせKPI目標をより高くするなど、内容を進化させています。とくに環境への取り組みは順調に進んでおり、脱炭素に向けて工場に太陽光発電を設置するなどしています。再生可能エネルギーも含めたESGの投資枠は、今後3年間で300億円を設定して、設備投資を加速させていきます。

 一方で女性管理職を増やすなどダイバーシティの面ではやや進捗が遅れています。人材の育成期間に時間がかかることもあり、時間差が生じています。

自分たちの商品で社会貢献

たんぱく質を手軽に摂取できる新商品を発表しました。狙いと今後の展開を教えてください。

古田 当社は健康や栄養をサポートする事業を推進しており、社会課題を解決するための商品は必要不可欠です。近年、日本人のたんぱく質摂取量が戦後間もない50年代と同じ水準となっています。たんぱく質を様々な食品から摂取するために、「TANPACT(タンパクト)」というブランド名で良質な乳たんぱく質を含んだ商品を発売しました。