古田 当社の乳製品やチョコレートのほか、山崎製パンや伊藤ハム米久ホールディングスからの協力も得て、パンやソーセージもラインアップに加わりました。今後も他社とのコラボレーションを進め、食品業界全体のブランドにしていきたいと考えています。

■ 社会課題解決への考えが現れている商品
「TANPACT」は、日本人の摂取量が1950年代並みになっているたんぱく質を、手軽に摂取することができる商品ブランド。山崎製パンや伊藤ハム米久ホールディングスとも連携し、消費者への浸透をはかる
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明治では、2026年までに、商品へ使用するカカオ豆の100%をサステナブルカカオ豆(※1)にすることを発表している。写真上は、サステナブルカカオ豆が使われている「アグロフォレストリーチョコレート」「meiji THE Chocolate」
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※1サステナブルカカオ豆:農家支援※2を実施した地域で生産されたカカオ豆のこと
※2農家支援の考え方:「農家の生活」「カカオ豆の品質および生産性」「地域環境」において、その安定化と向上に寄与する活動を社外パートナーと連携しながら実施する

新型コロナウイルスのワクチン開発も手がけています。現状について教えてください。

古田 健康をキーワードとする当社の事業は、食を通じて健康維持をはかり、薬によって病気を治すという価値の連鎖(バリューチェーン)を構築してきました。さらに18年、KMバイオロジクスに資本参加したことにより、「予防」の領域が新しく加わることになりました。

 英製薬会社アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発中の新型コロナウイルスのワクチンを製剤化し医療機関に届ける準備を進めているほか、KMバイオロジクスも独自のワクチン開発に取り組んでいます。新型コロナウイルスの感染性や毒性をなくした「不活化ワクチン」で、23年度中の実用化を目指して開発を進めています。

ESGに注力した経営において、どのような課題がありますか。

古田 ESGの投資枠をつくり、組織体制を整えるという「仕組み」だけではなく、個人の意識をいかに高めていくかが課題となります。例えばチョコレートの原料は質が同じでも、環境や人権に配慮して調達したものは値段が高い。

 100円の商品を作る開発者にとって、原料の価格が1円でも上がるのは抵抗があります。それでも開発担当者が「環境に配慮した商品を作りたい」と自発的に思えるか、その思いを実現できる社内体制であるかが問われます。

 個人の意識に働きかけるため、19年から、社内募金により集まった基金で、フードバンクを通じて子どもたちにお菓子を提供しています。自分たちの商品で社会貢献ができる。今後は各職場にサステナビリティ推進リーダーを配置して、自分たちの仕事がどれだけサステナビリティと結びつくのか、話し合う機会を設けていきたいと考えています。