企業経営の中にどうESGを位置づけ、価値創造を図りますか。

内藤 環境については、家庭用エネルギーの消費量削減に大きな責任を持つ給湯器メーカーの使命として、一層のCO2削減を進めます。

 中期経営計画では従来製品に比べCO2を50%削減するハイブリッド給湯器「エコワン」、15%削減する高効率給湯器「エコジョーズ」など省エネ機器の売り上げを25年度に20年度比50%増とする目標を掲げました。

 達成すれば年間700万tのCO2を削減できます。CO2を排出しない水素燃焼やCO2と水素からメタンを生成する「メタネーション」など色々な技術の可能性も探りつつ、社会の情勢に合わせて脱炭素化に進む意向です。

 社会については、世の中で必要とされる製品の提供に力を注ぎます。例えば、共働き世帯が増える中、ガス衣料乾燥機「乾太くん」は強力な殺菌力がある上、乾燥時間が短く、家事の時短ができると大変好評です。また、微細な気泡を発生する「マイクロバブルバスユニット」は心身を癒やす効果があり、「健康と暮らし」に貢献できる商品です。

 ガバナンスについては、リスクを低減しながら成長できるよう、コンプライアンスを徹底します。取締役会5人のうち2人を社外取締役とし、どこから叩かれても、覗かれても胸を張れる企業体を目指します。

総合戦略部は脱炭素の羅針盤

脱炭素社会の実現に向けて21年4月に総合戦略部を新設しました。

内藤 大きな視野で会社の方向性を決める羅針盤と位置づけています。国内外の環境政策の動向、社会の動き、業界情報などを総合的に検討し、時に進む方向を軌道修正するような役割を期待しています。

コロナ禍は業績にどのような影響を及ぼしましたか。

内藤 20年2、3月は上場来初の赤字も想定するような状況でした。その後、国内で巣ごもり需要が生まれ、米国では瞬間給湯器の販売が拡大しました。都心部から郊外へ移住する富裕層が従来の貯湯式給湯器から入れ替えたことが要因です。結果的にコロナ禍は大きな打撃とならず、20年度は過去最高の業績でした。

ESG経営を進める上で、どのような点を心がけていますか。

内藤 これまで堅実な経営で順調な歩みを続けてきましたが、この状況に社員が慣れ、チャレンジしなくなることを恐れています。社員が果敢に挑戦するよう意欲、やる気を引き出すための手を尽くしたいと考えています。

 その1つとして、自社に誇りを持ち、「もっと成長させたい」と思うようなリンナイのイメージ作り、ブランディングに取り組んでいます。研究開発では、「これをやってみたい」と思ったらすぐに試験に取りかかれるようなゆったりした空間作りなど環境整備も進めます。

 高効率給湯器など環境に配慮した製品はどうしてもコスト高になります。賃貸アパートなど価格重視の市場での勝負は容易ではありません。ゼロエネルギーハウス(ZEH)の普及に取り組む行政との連携なども進めながら、何とかビジネスを実らせていきたいと思います。