R&D部門が融合をサポート

全社的な視点で、融合のための資金や人材を確保していくのですか。

上脇 全社を統括しているR&D(技術調査や技術開発)部門があり、融合の橋渡しをしたりサポートをしたりする役割を担っています。事業部門が融合を進めていく際に、最適な人材を割り当てるなど、時間のかかるテーマに関しては技術的な支援をしています。

 とはいえ、新しい事業を開発するには、現場レベルで取り組みを活性化させていくことが大切です。融合のアイデアがあれば、会社のシステムに入力して、経営層側の目にとまるようにするというように、実現できる仕組みも必要です。融合事業による売り上げは、この3年間で500億円ほどありましたが、実際に経営にどれくらい寄与しているのか、経営層が認識できるようにする。現場は目先のテーマに集中しがちなので、「融合すれば、こういうこともできるのではないか」と、経営層側からも事業部門の技術者とコミュニケーションを取っています。

経営側と事業部門の技術者は、コミュニケーションを普段から密に取っているのですか。

上脇 定期会議を開いており、少しずつ軌道に乗っていると感じています。当社は、レジデンシャル、アドバンストライフライン、イノべーティブモビリティ、ライフサイエンスと4つのドメイン(事業領域)を持っていますが、この4つがあるからこそアプローチできる社会課題があると考えています。4つのドメインはそれぞれに磨きつつ、さらに広げていく。例えば、住宅なら単体の住宅ではなくまちづくりに、モビリティなら自動車だけでなく航空機も含めるというイメージです。

 それぞれのドメインが社会課題解決のための事業に取り組んできたので、融合することによって、間口をさらに広げていきたいですね。このドメインの軸のなかで幅を広げて、オーガニックグロース(自律的な収益拡大)も実現していますし、M&A(企業の買収合併)も今後の可能性として考えています。

■ 各ドメインで新領域の事業基盤を構築
■ 各ドメインで新領域の事業基盤を構築
4つの事業ドメインが社会課題に貢献する製品や事業の提案を進め、事業領域を広げていく
(画像提供:積水化学工業)
[クリックすると拡大した画像が開きます]

災害でも安心なまちづくり

新しいことに挑戦するために、従業員の働き方も変わってくるでしょうか。

上脇 従業員が新しい領域に飛び込み、積極的に挑戦できるようにする。そのために、次の中期計画でDX(デジタルトランスフォーメーション)化も重要な施策としています。いわゆる間接業務を効率化し、従業員が新しい挑戦に注力できる態勢を整えていきます。従業員数は現状を維持する方向ですので、それで売り上げを2倍にするには、労働時間(インプット)が短くても、成果(アウトプット)が出せる働き方が中心になっていくでしょう。これからはより、アウトプットに焦点を当てたマネジメントが必要と考えています。人事制度改革も進めており、役割と成果で評価をする「ジョブ型」の人事制度の導入を進めています。