聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

独SAPがサステナビリティを経営の根幹に据え、社内外で公益拡大を目指している。世界中の顧客ネットワークを通じて持続可能なビジネスと社会の実現にまい進する。

ソフトウェア会社のSAPはサステナビリティを経営の中でどのように位置付けているのでしょうか。

スコット・ラッセル(Scott Russell)
スコット・ラッセル(Scott Russell)
SAP エクゼクティブ・ボード・メンバー(カスタマーサクセス担当)
1973年生まれ。オーストラリア出身。豪ディーキン大学を卒業後、PwCのパートナーやIBMの上級幹部を務め、2010年にSAP入社。14年からSAPアジア大洋州・日本地域のCOO(最高執行責任者)や社長を経て21年1月から現職(写真提供:SAP)

スコット・ラッセル 氏(以下、敬称略) サステナビリティは我々の経営の中で「パーパス(存在意義)の肝」です。SAPにとってサステナビリティは「Help the world run better and improve people’s lives(世界をよりよくして、人々の生活を向上させる)」こと、環境面でのゼロエミッションや廃棄物ゼロに加え、「不平等ゼロ」も目標としています。それらの目標を達成できるというSAPとしての能力を示して、サステナブルな経済に貢献していきます。

 例えば、「Fortune 500」企業の94%が当社の顧客で、SAPのお客さまは世界の商取引の87%を担っています。こうした顧客にリーチできる強みを生かし、顧客企業が価値を高め、地球の限られた資源を有効に活用して生産性を高めるようにすることが、当社のパーパスです。

 SAPのサステナビリティ戦略は4つの柱で成り立っています。第一が全体のレポーティングで、単なる財務指標だけでなく非財務指標も公表しています。2つ目が気候アクション。SAPは環境へのインパクトを長年にわたって減らしてきました。2023年までにネットでCO2排出ゼロが目標で、14年からはすべてのデータセンターで再生可能エネルギーを利用しています。20年には気候変動抑止のためのプログラム「Climate 21」を新たに始め、当社の顧客が温暖化ガスを減らすなど環境保全アクションを取れるよう、生産面や経営面での支援を進めています。

 3つ目が循環型経済。世界では生産物の90%が廃棄され埋められます。SAPの顧客が限られた資源を効果的に使えるよう、テクノロジーを使って循環型経済を推進できる仕組みを作りたいと考えています。

 4つ目が社会的責任を負ったバリューチェーンです。サステナビリティには社会的責任が伴います。例えば、ソーシャルアントレプレナーシップ(社会起業)を促進する資金を用意して、社会・経済にインパクトを与える起業を支援することも重要です。SAPの顧客ネットワークにはこうした起業家を支援したいと考える強力な企業が多くあります。

■ SAPのビジョン:世界をよりよくし、人々の生活を向上させる
■ SAPのビジョン:世界をよりよくし、人々の生活を向上させる
出所:SAP