SDGs推進のアクションプランへの取り組みを加速するため、「2020年度SDGs推進KPI」を設定しています。

中田 SDGs債リーグテーブル(引受実績のランキング)とか、SDGs関連ファンド取扱実績といった指標をいくつかKPIとして設定していますが、現在は試運転の段階です。

 今の中期経営計画は20年度末で終了し、21年4月から新しい3カ年の中計に入ります。新中計に入るにあたってはSDGs推進委員会を設けて、これまでのSDGsの取り組みを可視化し、ゴール設定を明確にして30年に向けて取り組んでいきます。

 SDGsに資する事業活動がKPIの設定によって可視化されることを目指していますので、今は21年4月以降の3年間を追いかけられるKPIにブラッシュアップしようと思っています。

 例えば、日本の社会課題である地方創生に向けてお手伝いできないかと、事業承継のコンサルティング件数などもKPIに入れています。SDGs推進への取り組みを加速するために、いろいろな角度からKPIを入れていきたいですね。

■ 大和証券グループの2020年度SDGs推進KPI
■ 大和証券グループの2020年度SDGs推進KPI
図版提供:大和証券グループ本社
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子どもの貧困は社会問題

これまでも継続して貧困や格差を重要視したメッセージを発信し、その解決に取り組んでいます。

中田 厚生労働省の報告書によると、日本の17歳以下の子どもの貧困率は13.5%(18年)です。つまり、7人に1人の子どもが相対的貧困にあるというわけです。現在その数は280万人ともいわれ、そうした子どもたちの貧困を放置すると、約43兆円の社会的損失が発生するといった試算があるほどです。

 また、警察庁の発表では、19年の自殺者数は約2万人で、そのうち20〜30代の若者が4500人以上です。こちらも日本の将来にとって大きな社会的・経済的損失につながります。自殺の原因は様々でしょうが、貧困が一因であることも予想されます。

 恵まれていると思われる日本でも、子どもの相対的貧困はすでに大きな社会問題になっています。

ハイブリッド戦略でより強く

ところで、グループ全体の強みを引き出すため、証券業と新規ビジネスを組み合わせた「ハイブリッド戦略」を進めていますね。

中田 当社グループは独立系証券グループという属性に加え、これまでの証券ビジネスで培ってきたノウハウを生かした「経営の自由度の高さ」を強みの1つとしています。代表的なハイブリッドビジネスとして挙げられるのが、大和ネクスト銀行や大和リアル・エステート・アセット・マネジメントです。

 大和ネクスト銀行の「応援定期預金」では、お預けいただいた残高に一定割合を乗じた金額を、「環境保護」「障がい者スポーツ支援」「子どもの医療支援」「貧困などの状態にある子どもの自立支援」の4つのテーマにそって選定した10以上の団体に寄付しています。残高は1000億円を突破し、累計の寄付金額は2800万円を超えています。

 大和リアル・エステート・アセット・マネジメントのようなREIT(不動産投資信託)を扱う不動産ビジネスでは、今までの証券ビジネスのノウハウをそのまま転用できます。

 18年にはSDGsを少し意識して、大和エナジー・インフラを設立しました。今は太陽光発電が中心ですが、再生可能エネルギーに特化したビジネス展開を考えています。

 ただし、こうしたハイブリッド戦略には時間がかかります。いずれのハイブリッドビジネスも10年先を見据えて育てていく必要があります。

■大和証券グループのハイブリッド戦略推進コンセプト
■大和証券グループのハイブリッド戦略推進コンセプト
図版提供:大和証券グループ本社
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