聞き手/藤井 省吾(日経BP 総合研究所副所長)

2021年、創業から140年となる沖電気工業(OKI)。AIエッジを注力技術に定め、社会インフラの高度化を目指す。

2020年度からの「中期経営計画2022」で打ち出したパーパスともいうべきキーメッセージについて説明してください。

鎌上 信也(かまがみ・しんや)
鎌上 信也(かまがみ・しんや)
沖電気工業 代表取締役社長
1981年、沖電気工業入社。2001年にシステムソリューションカンパニーシステム機器事業部ハード開発第二部長、10年システム機器事業本部自動機事業部長、11年執行役員、12年に常務執行役員を経て、16年から現職(写真:川田 雅宏)

鎌上 信也 氏(以下、敬称略) 覚えやすく伝わりやすいメッセージを作りたいと考えました。20年2月頃、新型コロナウイルスが感染拡大していくのだろうかという不安の中、「大丈夫か」という言葉が飛び交いました。そこで、「大丈夫」という言葉の良さにあらためて気づき、「社会の大丈夫をつくっていく」と決めました。覚えやすいということで定着してきており、パーパスそのものだと考えています。

20年度に特定したマティリアリティと解決すべき社会課題について教えてください。

鎌上 OKIは人が生活する上で必要な社会のインフラを幅広く支える企業を目指しています。解決すべき社会課題については、老朽化問題、自然災害、交通問題、環境問題、労働力不足、労働生産性、感染症拡大の7つに設定しました。例えば、高度成長期に建設したインフラの多くは老朽化してきていますが、一斉に造り直すわけにはいきません。そこで、OKIは蓄積してきた技術を活用して、危険予知などに取り組んでいます。

全員参加型イノベーション推進

イノベーションと新しい価値を生み出す組織づくりに力を注いでいるそうですね。イノベーション・マネジメントシステム(IMS)「Yume Pro」の取り組みについて聞かせてください。

鎌上 従来は顧客が課題を提示し、OKIが解決策を提案する形で事業を進めてきました。しかし、バーチャルの世界がビジネスの中心になってきた今、課題が見えにくくなってきています。そのため、私たちが顧客の先にある課題と解決策を提案していかなければなりません。従来のBtoBから、今ではBtoBtoCまでの動きを察知して、Bに提案する必要があるのです。そこで、全員参加型で誰もが提案できる仕組みを作ろうと、IMS「Yume Pro」を始めました。

どのように進めていますか。

鎌上 Yume Proは組織でイノベーションが生まれやすくする国際規格ISO56002を先取りしたものです。イノベーションを続けるには、ボトムアップだと難しい。今までトップダウンで取り組んできた活動は定着しており、社長ダイアログとして、月2回10人に集まってもらい、2時間の対話をしています。また「Yume Proチャレンジ」として、社員からのアイデア募集も進めています。