聞き手/安達 功(日経BP 総合研究所フェロー)

2025年の創業100周年を目指し、10年間の長期ビジョンを実施中の三機工業。本業と社内改革を通じ、快適でサステナブルな社会環境の創出を目指す。

三機工業のグループ経営理念をご説明ください。

工藤 正之(くどう・まさゆき)
工藤 正之(くどう・まさゆき)
三機工業 取締役 専務執行役員 CSR推進本部長
1985年山形大学大学院精密機械工学専攻修了、三機工業入社。執行役員ファシリティシステム事業部長、常務執行役員建築設備副事業本部長などを経て2021年4月より現職(写真:村田 和聡)

工藤 正之 氏(以下、敬称略) 「エンジニアリングをつうじて快適環境を創造し広く社会の発展に貢献する」がグループ経営理念です。売上高の約8割を占める「建築設備事業」は、ビルの空調や給排水の衛生設備、半導体工場向けクリーンルームなどの産業空調、オフィスなどのワークプレイス向けファシリティシステム事業が中心です。売り上げの残り2割弱を「プラント設備事業」や「不動産事業」が占め、プラント事業では物流コンベヤや工場自動化システム、上下水道や産業用プラント設備などを扱っています。

 快適さを追求しながら、安心で安全な空間をつくることで産業の発展に貢献し、SDGsに資する企業だと自負しています。

事業と人の「質」を高める

2016年度から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を掲げていますね。

工藤 16年度から3年間はPhase(フェーズ)1として「質を高める」が狙いでした。代表例が、18年10月に完成した「三機テクノセンター」(神奈川県大和市)です。

 ここは、研究開発施設や技術展示エリアなどを持つ総合研修・研究施設です。研修エリアでは施工現場のモックアップを置き、実機を使用することができます。現場でのトラブルを想定した研修を行うことで、当社を支える高い技術力と人財を磨く拠点となりました。

■ 自律走行型風量測定ロボット
■ 自律走行型風量測定ロボット
ビルの空調設備の風量を計測する自走式ロボットの試験運用を開始。高齢化・人手不足が進む建設現場の課題解決に取り組んでいる
(出所:三機工業)

 Phase2は19年度からの3年で、21年度が最終年です。財務・資本政策を強化し、ESG方針を開示しました。初任給や賞与の水準を高めたほか、コロナ禍では協力工事会社が資金的に困らないよう手形決済を止めて、現金支払いに切り替えました。

 現場では総労働時間を削減する取り組みとして社長主導で進めてきた「スマイル・プロジェクト」の効果が表れています。今後は、発注者や工事元請けのゼネコンなども含めて業界全体で働き方改革に取り組む必要があると考えています。

 ビル施工後の試運転調整にも、空調の風量を自動計測する自走式ロボットを導入するなど、現場の人手不足や高齢化に対応した施策を積極的に推進しています。

社会に「選ばれる会社」を目指して

工藤 22年度から4年間はPhase3として「選ばれる会社」を目指します。具体的な内容は22年に発表を予定していますが、「三機に頼んでよかった、次もお願いしよう」と顧客に選ばれ、社会に必要とされる企業であることを目指すのがPhase3の目標です。