自然共生社会については主に2つの取り組みをされています。

井上 バリューチェーン全体で生物多様性への影響を最小化し、印刷・加工用紙の調達ガイドライン適合品を調達率100%にするのが目標です。森林資源の維持と、強制労働などの人権侵害を無くすため、06年に「CSR調達ガイドライン」を設けました。本社のある東京の「市谷の杜」など事業所内の緑地を活用して生物多様性の保全活動も実施しています。

■ 「DNPグループ環境ビジョン2050」の実現に向けた取り組み
■ 「DNPグループ環境ビジョン2050」の実現に向けた取り組み
※温室効果ガス(GHG)排出量の中長期目標について、2018年7月、「2030年までに2015年度比25%削減」でSBT(Science Based Target)イニシアチブの認定を取得したが、2050年実質ゼロに向けて同目標を見直し、改めてSBT認定を取得した ※スーパーエコプロダクツ:自社独自の評価により特定した環境配慮が優れた製品・サービス
(出所:大日本印刷)
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印刷の派生技術が革新を生む

事業の推進という観点で特に成果が出ている分野はありますか。

井上 パッケージとモビリティーの分野で実績があります。紙パッケージは水に弱く、湿気が入り込みやすいイメージがありますが、薄いコーティングを施せば長期保存にも向きます。長年取り組んできたラミネートチューブの製造にこの技術をかけあわせて、胴体部分に紙を使用するラミネートチューブ紙仕様を開発しました。

 また、大きく成長しているのがリチウムイオン電池の外装パッケージです。正極・負極・セパレータを重ねた積層電極とタブを包み込むだけで電池として機能するバッテリーパウチ(外装材)で、世界トップシェアを獲得しています。現在は主に電気自動車やスマートフォン用バッテリーに使われています。缶の電池と違って様々な形に加工しやすい一方、精度や強度などの品質欲求が高いので、ここは当社の技術力の見せどころです。20年度に395億円だった事業規模は24年度に1000億円規模へ急拡大する見込みです。

 19年に地球環境大賞を受賞した「DNP多機能断熱ボックス」は、薄くて断熱性が高いだけでなく、内部の温度を監視できる無線技術を組み合わせた点が評価されました。フォトリソグラフィーでの回路生成やエッチングでのワイヤレス給電向けコイルの微細加工など、印刷から派生した技術が次々と新しい製品を生み出しています。今後も技術革新力を武器に、環境先進企業として一段の高みを目指したいと考えています。