50年にネットゼロを目指す

21年6月に14の課題を特定し、マテリアリティを更新しました。

野村 近年の社会情勢や価値観の変化を受け、マテリアリティを改定しました。14のマテリアリティを「社会価値創出」と「価値創造基盤」に分けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

■東京建物グループの長期ビジョンとマテリアリティ
■東京建物グループの長期ビジョンとマテリアリティ
出所:東京建物

マテリアリティの1つに「脱炭素社会の推進」を掲げていますね。

野村 30年度までにCO2排出量を19年度比で40%削減し、保有する不動産で消費電力の再生可能エネルギー化率を40%にします。

 すべての新築オフィスビル、物流施設、分譲マンションにも大幅な省エネ化や再エネを導入します。年間の消費エネルギー収支をゼロにするZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル) やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス) の開発を進めます。

 20年にオープンした東京・池袋の大規模複合施設「Hareza Tower(ハレザタワー)」はZEBの事例です。販売中の東京都多摩市のマンションは、経済産業省の超高層ZEH-M実証事業に首都圏で初めて採択されました。新築のオフィスビルや物流施設ではグリーンビルディング認証を取得します。

 50年の目標では、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーにして、CO2排出量実質ゼロを目指しています。

企業経営でESGをどのように位置づけていますか。その際の課題はなんでしょうか。

野村 再開発などの長期にわたるプロジェクトを手がけるデベロッパーの特性かもしれませんが、ESG経営も中長期的な取り組みを念頭に置いています。投資家の多くは短期的な配当や利益を追求するだけでなく、中長期的な視点での企業価値向上を期待しています。

 環境や人権などの取り組みにはコストがかかるため、民間企業として収益を出しつつ、ESG経営を積極的に進めるというバランスが重要です。長期ビジョンに掲げているように、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立するため、今までとは違う次世代のデベロッパーになりたいと考えています。