聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

新型コロナ感染拡大による事業環境の変化に対応、中期経営計画を見直した。2020年11月に発表した「プロジェクトChange」で目指すのは自然と技術が調和する社会である。

新型コロナの感染拡大で事業環境が大きく変化したことを受け、2019年度にスタートした中期経営計画「グループ経営方針2019」を見直しました。

井手 博(いで・ひろし)
IHI 代表取締役社長最高執行責任者
1961年生まれ、83年4月に石川島播磨重工業(現IHI)入社。2013年シンガポールJurong Engineering社長、17年IHI執行役員資源・エネルギー・環境事業領域副事業領域長、19年常務執行役員資源・エネルギー・環境事業領域長、20年最高執行責任者兼資源・エネルギー・環境事業領域長などを経て、20年6月から現職(写真:大槻 純一)

井手 博 氏(以下、敬称略) 20年から22年度までの3年間を環境変化に即した事業変革への準備・移行期間と位置づけて、新たに「プロジェクトChange」を策定しました。両方とも長期ビジョンをもとに構想しているので、基本コンセプトは変わりません。

「プロジェクトChange」で、伝えたいことは何なのでしょうか。

井手 IHIは「技術をもって社会の発展に貢献する」を経営理念にしています。技術オリエンテッドな会社で、様々な形で技術を開発し、社会に貢献してきた自負があります。しかし、現在の社会の流れを見たときに、それでは不十分で、「自然と技術が調和する社会を創る」という形に変える必要があると考えました。自然との調和を考えないと、サステナブルな技術にはなりません。そこで、今一度、技術のあり方を考え直してみようということです。

成長事業を3つに再定義

自然と技術の調和について、どうイメージしたらよいですか。

井手 IHIはロケットエンジンを生産し、衛星データの活用に取り組む一方で、橋梁(きょうりょう)などの社会インフラも建設しています。

 その中で、今求められているのは自然災害に強く、かつ自然にやさしいインフラを造ることです。そのためには、例えば衛星で監視して、洪水時にダムや水門を遠隔制御し、河川の流量を調整できる治水システムの構築といったことも考えなければなりません。

 いくつもの事業領域がある中で、自然に強い部分とやさしい部分の両方を考えることができるようにしたいです。

「プロジェクトChange」の概要と人材の育成・活用について教えてください。

井手 前段がコロナ禍での収益基盤の回復、後段が自然と調和する技術を創るための取り組みです。後段では、脱CO2、防災・減災、暮らしの豊かさを実現するために、カーボンソリューション、保全・防災・減災,航空輸送システム――の3つを成長事業と定義しています。(図右下)。

■ 2022年度までの新しい中期経営計画「プロジェクトChange」
図版提供:IHI
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