聞き手/田中 太郎(日経ESG経営フォーラム事業部部長)

2030年に向けた長期ビションを設定し、イノベーションをさらに進める。SBT1.5℃目標の認証取得で気候変動対応を加速させ、50年カーボンフリーの実現に挑む。

2030年までの長期ビジョンを策定しました。機器メーカーとして環境分野ではどのように貢献していきますか。

中川 康仁(なかがわ・やすひと)
中川 康仁(なかがわ・やすひと)
ナブテスコ 執行役員 ものづくり革新推進室長
1963年生まれ。92年帝人製機(現ナブテスコ)入社、2011年精機カンパニー津工場長。その後ものづくり革新推進室長付参与、精機カンパニー社長付参与などを経て、16年納博特斯克(中国)精密機器有限公司総経理、18年当社理事、20年より現職(写真:大槻 純一)

中川 康仁 氏(以下、敬称略) 長期ビジョンでは「未来の“欲しい”に挑戦し続けるイノベーションリーダー」を掲げ、ナブテスコらしさをベースに、社会発展と環境保護への貢献を柱に据えました。環境保護では、経営マテリアリティの財務インパクトの大きい分野として挙げている気候変動への対応が中心になります。20年半ば頃からSBT(Science Based Target)の2℃目標の引き上げを検討し始め、21年6月に1.5℃目標に更新しました。9月にはSBTイニシアチブの認証を取得し、50年に自社の生産におけるエネルギーを100%カーボンフリーにする目標を掲げました。

新目標の1.5℃目標について説明してください。

中川 直接・間接排出のスコープ1・2は、15年基準で30年に63%減、50年に100%減、スコープ3ではサプライヤーのご理解とご協力を得ながら25年に自主削減目標、30年にSBTの設定を目指します。15年のパリ協定を起点に取り組んできましたが、各カンパニーやグループ会社でそれぞれ目標を立てて、さらに注力していきます。

気候変動を重視する理由はどこにあるのでしょうか。

中川 ESG関連課題である気候変動への対応は、顧客や投資家からの要求でもあります。当社の製品はコンポーネントもあり、サプライチェーンの中流に位置します。製品を提供している顧客も様々な取り組みを行っているので、その力になるためにも、気候変動への対応は大変重要です。

スコープ1・2ではどのような道筋を考えていますか。

中川 「省エネ」「創エネ」の推進に加えて、「再エネ調達」の3つの施策で30年、50年の比率を提示しています。SBT1.5ではグローバルでの対応が必要なので、中国での取り組みに向けても動き始めています。

 3つの中では省エネが最も重要です。使うエネルギーが少なくなれば、コストも軽減できます。節電からスタートして省力機器の利用へと展開していますが、使用量の多い工場ではエネルギー効率をさらに高める必要があります。

 今までは拠点ごとに電力を可視化する仕組みでしたが、さらに細分化して、生産ラインや装置からデータを取りイノベーションにつなげます。

 創エネでは12年から工場の屋根で太陽光発電を行っていて、全体のパネル面積は3万8000㎡、発電量は7400kWhです。

 再エネ調達はCO2フリー電力を調達するとともに、J-クレジットなどの購入を進めます。