聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

「中期経営計画2022」を発表、社会インフラ企業として身近な生活の安心・安全を支えていく方針を示した。エッジ(端末)に頭脳を持たせる「AIエッジ技術」によってソリューションを提供し、社会課題の解決を目指す。

2020年10月に「中期経営計画2022」を策定し「社会の大丈夫をつくっていく。」というキーメッセージを掲げました。背景を教えてください。

鎌上 信也 氏(以下、敬称略) 中計は当初5月に発表する予定で準備を進めていましたが延期して、新型コロナウイルス感染拡大がもたらす変化を踏まえ、内容を吟味し直しました。コロナ禍の生活では何か行動を起こす度に「これをやって大丈夫か」と気になります。社会インフラを手掛けるOKIの企業価値は一人ひとりの生活に安心・安全を提供する点にあると改めて実感し、このメッセージを採用しました。

リアルな現場や生活を支える

「クリティカルなモノづくり、コトづくりを通じた社会課題の解決」を目指す方針も打ち出しました。

鎌上 信也(かまがみ・しんや)
鎌上 信也(かまがみ・しんや)
沖電気工業 代表取締役社長
1959年山形県生まれ。81年山形大学工学部卒業後、同年沖電気工業入社。2011年執行役員システム機器事業本部長、12年常務執行役員、14年取締役に就任、16年より現職(写真:村田 和聡)

鎌上 世の中はGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と呼ばれるプラットフォーマーが席巻しています。けれど、我々の生活はバーチャルではありません。アマゾンで商品を注文しても誰かが配達しなくては家には届かない。ラストワンマイルにこそ、生活を支える基盤があります。そういうリアルな生活や社会の現場の近くで必要不可欠なモノやサービスを提供することが、我々の役割であり使命だと考えています。

メカトロシステム、プリンター、EMSの3事業統合を進めています。どういう狙いがありますか。

鎌上 我々は設計、開発、製造というモノづくりの力を持っています。ただペーパーレス化、キャッシュレス化が進み、プリンター事業やATM事業はかつてのような右肩上がりは望めません。

 既存商品にこだわらず、3事業のリソースを有効活用し、製品コンセプトの検討や設計など、開発段階からお客様のモノづくりを総合的にサポートするDMS(Design&Manufacturing Service)ビジネスを展開したいと考えています。4月には3事業を統合したコンポーネント&プラットフォーム(C&P)事業本部を新設しました。最前線にいるお客様の要求を真摯にとらえ形にすることで、新たなソリューションを生み出し社会課題を解決していきます。

AI人材を社内で育成

成長戦略として「AIエッジ」技術を活用したソリューション事業の推進を盛り込んでいます。

鎌上 IoTデバイスは急速に普及が進んでいます。それらのデバイスからすべてのデータをクラウドに送るのでは負荷が増大してしまいます。瞬時の処理が求められる時にはシステム内の端末、つまり「エッジ」である程度処理することが必要です。