聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

2023年に創業100周年を迎えるにあたり、環境クリエイターへの進化を目指す。新中期経営計画“iNnovate on 2023 go beyond!”を策定し、社員エンゲージメントの向上に注力する。

高砂熱学工業は2023年に100周年を迎えます。どんなビジョンを描いていますか。

小島 和人 氏(以下、敬称略) 環境クリエイターとして、脱炭素社会の実現に貢献したいと考えています。環境クリエイターとは、「人が住む環境のための空調技術」と「地球環境に貢献する環境技術」を創造する企業を意味する造語です。長期的に国内建設市場が徐々に縮小すると予測される中、グリーンエネルギーなど環境事業にもチャレンジしていきます。

「Takasago Way」作成へ

小島 和人(こじま・かずひと)
小島 和人(こじま・かずひと)
高砂熱学工業 代表取締役社長COO
1961年愛媛県生まれ。84年山梨大学工学部卒業後、高砂熱学工業に入社。2015年理事 東日本事業本部横浜支店長、17年執行役員、18年大阪支店長、19年取締役 経営戦略本部長を経て20年4月より社長兼COO(最高執行責任者)(写真:村田和聡)

20年11月に23年度までの新中期経営計画を策定しました。

小島 新型コロナの感染拡大を受け、従来想定していた計画を見直して、経営基盤の強化に向けて再構築しました。基本方針に「総合設備業への進化」「第2、第3の柱となる事業の構築」「エンゲージメントの向上」を盛り込んでいます。特に、私たちの財産である社員のエンゲージメントを上げることに最大の重点を置いています。

 少子高齢化で今後、建設作業員は不足します。テクニックも大切ですが、エンゲージメントを向上し、短い時間で高いパフォーマンスを発揮してもらうことが必要です。

 その1つの施策として、高砂の精神、価値観を抽出した「Takasago Way」の作成に動き出しました。当社は「ないものは自分でつくる」という方針の下、過去には日本初の冷凍機や空調設備をつくってきた歴史があります。

 「お客様の望むものの上をいく」「120%の結果を出す」というマインドで仕事に取り組み、社会に貢献してきたと自負しています。「高砂とはどういう会社か」「社員に継承されたDNAは何か」を明確化して、会社と社員が共有することで価値創造を図りたい。20年4月に委員会を立ち上げ、検討を始めています。

中計の中でESGをどう位置づけていますか。

小島 当社は「人の和と創意で社会に貢献」を社是としています。今回は業績目標だけでなくESGを経営の根幹に据える方針を明確に打ち出しました。

 特にESGのE(環境:Environment)は事業にとって重要です。建物のエネルギー使用量のうち、45~50%は空調設備が占めます。いかに消費エネルギーを減らし、再生可能エネルギーへと転換するか、我々の役割は大きい。今回の中計では23年度に達成すべき目標数値として、初めてCO2削減を盛り込みました。スコープ1(直接排出)とスコープ2(間接排出)で19年度比10%以上の削減を目指します。

 ESGの推進には、総論だけでなく、各論で施策を講じることが重要です。20年4月にESG推進室を設置し、取り組みを進めています。プラスチック問題に対応するため、建設現場で使う看板などに石灰石を主原料とする新素材LIMEXを採用しました。

 9月にはサブコンとして初めて、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明しました。SBT(Science Based Targets)認定の取得を目指して申請も行っています。