月面で水素と酸素の生成に挑戦

中計ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進も掲げています。

小島 経営基盤の強靱化にはDXによる事業の抜本的改革が不可欠です。建設業界はこれまで現場で1件ごと仕上げる“一品生産”が浸透していましたが、この施工プロセスも変革が必要です。オフサイトに生産拠点を据え、モジュール化したものを製造して現場まで運ぶ方法に変え、コストやCO2排出量の削減、人手不足に対応したいと考えています。

 また、21年の基幹システム刷新に伴い、人事、経理、営業、技術開発、支店などを結び、計画から設計、施工、メンテナンスまでデータ管理する計画を進めています。20年12月にCDXO(最高DX責任者)を新たに据え、本格的にDXを推進していくつもりです。

ガバナンス体制も今後の変革の1つの要素となりますか。

小島 19年6月に就任した取締役3人は私も含めてみな現場出身で、同じようなスキルを持つ人材です。スキルマトリックスによる多様性の拡大に向け今後まだまだ変革していく必要があると捉えています。

20年4月に、茨城県つくばみらい市に新たな研究開発拠点「高砂熱学イノベーションセンター」を開設しました。その狙いを教えてください。

小島 従来の技術研究所では自前主義の研究開発を行っていました。つくばへの移転を機に、異分野領域の企業、大学とも積極的に連携し、オープンイノベーションによる価値創出に挑みます。

 19年、我々は宇宙関連ベンチャーのispaceが進める月面探査計画への参画を表明しました。空調設備で培った熱利用技術と水電解技術を使い、月面で水素と酸素を生成する実証実験を行います。イノベーションセンターをベースに、こうした新たな取り組みにどんどん挑戦していきたいと思います。

2020年4月に茨城県つくばみらい市に竣工した研究開発拠点「高砂熱学イノベーションセンター」
(写真提供:高砂熱学工業)
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空調設備で培った熱利用技術と水電解技術を用いて、月面環境での水素/酸素生成に挑戦している
(写真提供:HAKUTO-R)
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