新型コロナで問題が露呈

世界各地で事業を展開しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響はありましたか。

松本 海外拠点である中国、マレーシア、フィリピンの工場が順次操業率を落とさざるを得なくなりました。現地の社員が出勤できない状況で、人に頼ったものづくりの問題が露呈したわけです。お客様への商品の供給を途絶えさせないことが我々の使命ですから、こうした問題を解決する手段を講じていかなければなりません。事業継続に対応したより強固な生産体制を整えるため、ラインの自動化を加速しています。

 もう1つは、サプライチェーンの問題です。今までも様々な危機に対応してきましたが、今回のように全世界が同じような状況に陥ったときのリスクマネジメントは十分ではありませんでした。

 材料の手配からお客様に商品を供給するまでのサプライチェーンは、これまで事業部別に個別最適で完結していました。何か危機があっても事業部別あるいは工場別に対応していたものの、全体をトータルで見る仕組みがなかったのです。その立て直しのため、20年6月に新たにSCM(サプライチェーンマネジメント)本部を立ち上げ、サプライチェーンを総合的にマネジメントする体制を構築しているところです。年度内には方向性を明確にして、2〜3年で新システムを完成させます。社員の安全確保が最優先ですから、テレワークの導入などによる働き方改革にも並行して取り組んでいます。

対話型の組織づくりを目指す

ESGを重視した経営を進めていくための課題は何ですか。

松本 外部の変化にしっかりと対応できるように、ガバナンスの効いた組織体制を構築する必要があります。これまで縦割りの組織体でそれぞれ個別に対応していたものを、横串の組織で強化し、機能的に動くように改善します。

 今、私が取り組んでいるのが、全部門の社員との対話です。社内にどんな課題があり、彼ら彼女らがどのように解決しようとしているのかを理解するために始めました。本音を語ってもらうために、参加者は非公表です。これまで希望者の中から階層別に10人ほどの座談会を5回行いました。現在は管理職との座談会を開催中です。現場の声を聞ける貴重な機会として、継続していきたいと思っています。

 経営ビジョンの実現のためには、社員一人ひとりが企業目的を実践すること、グループ全体で経営課題に取り組んでいくことが大切です。ロームグループが一丸となった“ONE ROHM”として、社会課題の解決につながる革新的な商品開発やものづくりに取り組み、SDGsの実現に貢献する企業を目指したいと考えています。