終戦後から、戦禍により傷あとややけどのあとなどをカバーするための商品開発を進めてきた。化粧品を通じて、がん患者や高齢者を含めた広い層に勇気や自信を与えている。

 化粧を通じて、心を癒し、前向きにする。資生堂は社会貢献事業として、肌に深い悩みを持つ人たちのための商品開発や、さまざまなサポート活動に取り組んでいる。

 やけどやあざといった問題から精神的苦痛を抱え、外に出られなくなる、人とのコミュニケーションが取りづらくなるなど、社会生活の質が低下するケースがある。そんな人に対し、「本来の自分らしさを失わず、笑顔で生活できる商品を届けたい」と、資生堂社会価値創造本部ダイバーシティ&インクルージョン室エンパワーメントサポートグループのマネージャー、横山加津子氏は話す。

 同社の化粧品シリーズ「パーフェクトカバー」は、使う人の様々な肌の悩みに対応し、生活の質を高めるための商品だ。

 例えば、肌の色や凹凸をカバーできる「パーフェクトカバー ファンデーション」。赤、青、ゴールドの3種類のパール剤を配合し、光の特性を利用し肌の色を自然に見せる。

 ファンデーションは、肌の色に合わせて7色のラインアップをそろえた(一部海外では展開色の数が異なる)。通常のファンデーションで肌の悩みをカバーしようと厚く塗ると、肌のツヤが失われ不自然な色合いになる。パーフェクトカバーは水分量が多く、血色感にこだわった。カバー力が強いにもかかわらず、仕上がりは素肌に近づけた。汗や水に強く、資生堂によれば12時間持続する点も重要な特徴だ(色持ち、うすれにくさの効果には個人差がある)。ほかに化粧もちを良くするパウダー、化粧を落としやすく肌にやさしいオイルクレンジング、部分用ファンデーションなど品ぞろえも豊富だ。

■ 肌に悩みを持つ人が化粧の力で本来の自分らしさを取り戻す、さまざまな取り組みを実施
「パーフェクトカバー」はあざや傷あと、抗がん剤の副作用などさまざまな肌の悩みに対応している
[クリックすると拡大した画像が開きます]
カウンセリングでは、アドバイザーが1人ひとりに適した化粧品を選び、負担なく続けられるよう使い方をアドバイスする
※新型コロナウイルス感染対策のため、カウンセリングを実施していない店舗もある
(写真:資生堂)

がん患者、男性からも支持得る

 資生堂が、肌の悩みを解決する社会貢献事業として化粧品を開発した歴史は、第2次世界大戦後までさかのぼる。空襲でやけどを負った人たちに、「何かできないか」と考えたのが始まりだ。当時、米国ではアピアランス(容姿)ケアとして、やけどやあざをカバーするための化粧が取り入れられていた。GHQ(連合国軍総司令部)が日本政府に働きかけたこともあり、資生堂は1956年から商品開発を手がけるようになった。

 その後も、病気や事故の影響による悩みを抱えた人の支持を得ている。近ごろは、抗がん剤治療の副作用による顔色の変化をカバーしたいという悩みを抱える患者もいる。

 厚生労働省による2010年の調査によれば、がん治療をしながら仕事を続ける人は国内に32万5000人いるという。「抗がん剤の副作用でくすんだ肌をパーフェクトカバー ファンデーションで化粧してカバーすることで、これまでと同じように社会と関わっていける」と、横山氏は話す。高齢者の利用も増加している。化粧をすることで元気が出て、「友達と会ってみよう」「好きな趣味をやってみよう」と活動的になり、生活の質が向上するという。

 一般には化粧を使わないと考えられる人の間でも、支持が広がっている。例えば、子供や男性だ。