課題発見からソリューション提供までの「ITワンストップサービス」を軸にサステナビリティ経営を推進する。医療サービスの革新や地域の活性化など多彩な分野で実績を積み上げている。

 日立システムズがサステナビリティ経営を加速している。2011年から経営とCSRの一体化に向けた取り組みを段階的に進め、19年4月から始まった現行の中期経営計画(中計)から本格的にサステナビリティやSDGs(持続可能な開発目標)の視点を導入した。

 日立グループのサステナビリティ方針は「環境価値・社会価値・経済価値を重視した経営をめざす」というものだ。日立製作所が現行の中期経営計画(日立21中計)で掲げている。その一員である日立システムズも、同方針に沿って「事業活動・企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献する」ことをビジョンとして打ち出した。

 「ITベンダーとして、顧客の課題発見から業務設計・企画、システム構築、導入、運用、保守までをワンストップで手掛けられるのが当社の強み。サステナビリティ経営を実践する上ではこの強みを生かし、主要顧客である自治体や公共団体のデジタライゼーションを促進することを目標の1つとしている」と、サステナビリティ・リスクマネジメント本部コーポレート・コミュニケーション部の竹中浩一部長は話す。

セキュリティ人材1000人育成

 日立システムズは事業活動によるサステナビリティの実現を、「サイバー空間」と「フィジカル(実体)空間」の2つに分けて、それぞれでKPI(重要業績評価指標)を設定した。サイバー空間では安全・安定・強靭性の実現に貢献すべく「セキュリティ人材1000人の育成」や「自社のビジネスクラウドサービス450社・団体に提供」などを目標として取り組んでいる。

 フィジカル空間では、行政サービスの充実や安心して暮らせる社会インフラの実現への貢献を目標とするKPIを設定した。例えば「利便性が高く公平・公正な行政サービスを7000万人に提供する」「公共事業を手掛ける380の公共団体にITソリューションを提供する」などを設定。21年度中に、ほとんどのKPIを達成できる見込みだ。

 サステナビリティ経営を進めるに当たり、まずはサステナビリティについての「理解」を社員に浸透させるための取り組みに着手した。社内での啓発活動として、SDGsについて学べるカードゲームを用いた研修などを全社規模で実施したほか、Eラーニングや年6回程度のセミナーを実施して浸透させてきた。

 同時に、サステナビリティ経営の「実践」として19年度から「社会課題解決ワークショップ」を実施してきた。NPOと組んで宮城県女川町や長野県小布施町を日立システムズの社員が毎年約30〜40人規模で訪問し(20年度の第3期はオンラインで実施)、それぞれの町の現状と課題を把握してその解決策を事業アイデアとしてまとめ上げるプログラムである。

■ 社会課題解決ワークショップ
■ 社会課題解決ワークショップ
■ 社会課題解決ワークショップ
現地に赴いて課題を調査し、解決できる事業アイデアを考える
(出所:日立システムズ)

 サステナビリティ・リスクマネジメント本部コーポレート・コミュニケーション部の佐藤佳彦部長代理は、「今後は地域に潜む社会的な課題を起点にして事業を発想する力が重要になる。地域の人々と課題解決の方策を探るワークショップは、未来を描ける人材を育成するための貴重な機会と考えている」と、施策の意義を強調する。

 このように日立システムズのサステナビリティ経営は着実に進化を続けており、自社の事業を通じた社会価値の創出においても成果が見え始めている。