イオンは2018年3月、脱炭素を掲げた「脱炭素化ビジョン2050」を策定した。PPA活用や余剰電力の買い取り、Loopなど多様な方法で脱炭素化を進める。

 イオンは、2018年にCO2排出量を50年までに実質ゼロにする「脱炭素ビジョン2050」を小売業界に先駆けて発表した。策定から3年経つ現在、気候変動対策は順調に進んでいる。

 「脱炭素ビジョン2050では、『店舗』『商品・物流』『お客さまとともに』という3つの視点で、それぞれ脱炭素に向かう具体的な数値目標を立てている。また、30年までの中間目標として、CO2排出量を10年比で実質35%削減を目指している」と、イオン環境・社会貢献部部長の鈴木隆博氏は語る。

PPA活用の太陽光発電を導入

 脱炭素の中心となるのが「店舗」でのCO2削減である。なかでも、イオン全体のCO2排出量の約9割が電力に由来していることから、「省エネ」(使用電力の削減)と「再エネ」(再生可能エネルギーへの転換)の両輪で脱炭素を目指す。

 「『省エネ』については、省エネ機器の導入に加えてIoTによるエネルギーマネジメントなどによって、毎年1%以上の削減を目指し、最終的に14億8000万kWhを削減する。『再エネ』への転換については、太陽光発電設備の導入などによって4億kWhを賄うほか、再エネ電力の購入やグリーン電力証書の活用により13億6000万kWhを調達する」と、鈴木氏は展望を語る。

 店舗や駐車場の屋根など、敷地内に自社で設置した太陽光発電装置で、直近の発電量は約7000万kWhに達している。これに加えて、今後積極的に展開するのがPPA(電力販売契約)モデルによる太陽光発電である。

 イオンの敷地内に発電事業者が太陽光発電設備を設置してメンテナンスも行い、イオンはそこから電力を購入するという仕組みだ。既存店にも取り付けられ、通常の再エネ購入より安価にできる点が大きなメリットである。

 「PPAモデルは、イオン藤井寺ショッピングセンター(大阪府)、イオンモール津南(三重県)などに導入している。21年度以降は小規模な店舗にも広げ、200店舗まで広げていきたい」(鈴木氏)

■ イオンの再エネ転換:再エネ100%店舗の推進
太陽光発電や再エネ購入などによるCO2フリー電力の使用と、省エネのためのエネルギーマネジメントシステムを組み合わせることで再エネ使用100%の店舗が実現した
(出所:イオン)

 店舗の近隣にある農地を活用したソーラーシェアリングの実証実験も始まっている。

 「農地の上に太陽光発電設備を設置してその電力を購入することに加えて、農地で収穫された作物を仕入れてイオンで販売するという地域連携のスキームも検討している」(鈴木氏)

 それでも不足する分については、電力会社から再エネ由来の電力を購入することで、再エネ比率を高めている。これらの取り組みにより、21年1月時点で、イオンスタイル海老江(大阪府)、イオン藤井寺ショッピングセンター(大阪府)、イオンモール上尾(埼玉県)、イオンタウンふじみ野(埼玉県)の4カ所が、再エネ使用率100%を実現している。