余剰電力をWAONで買い取り

 新しい仕組みによる再エネの調達にも乗り出した。電力会社と連携して一般家庭の太陽光発電をイオン店舗で活用するものだ。太陽光発電のFIT制度(固定価格買取制度)期間の終了に合わせて19年11月にスタートした、いわゆる「卒FIT」向けのサービスである。家庭の余剰電力を電力会社経由でイオン店舗に供給し、その電力量に応じてイオンから、電子マネーで決済した時にたまる「WAON(ワオン)ポイント」を進呈する。中部、中国、四国電力と連携している。

■ イオンの再エネ調達:電力会社との取り組み
再エネ調達のための取り組みの一つ。一般家庭から、太陽光発電の余剰電力を電力会社経由でイオンの店舗に供給。中部電力では、対価として1kWh当たり7円+2WAONポイントを進呈する
(出所:イオン)

 中部電力管内では、愛知県内の3店舗で導入し、19年6月~20年5月の間にショッピングセンターで使用する電力全体の25%を、この買い取り電力で賄った。

 一方、家庭の太陽光発電設備からEV(電気自動車)に充電された電気をイオンが買い取るVPP(仮想発電所)の実証実験も進めている。イオンは18年に、企業で使う電力を100%再エネにすることを目指す国際イニシアティブ「RE100」に参加している。

 イオンモールでは、輸送手段の電化を掲げる「EV100」にも加盟しており、国内外の全240店舗にEV充電器を設置している。この設備を活用して、EVのバッテリーにためた電気をイオンが買い取るという試みだ。前記の「卒FIT」のサービスと同様に、電力量に応じてWAONポイントを進呈する。

 「今後、購入した電気が家庭用の太陽光発電に由来したものであることを、ブロックチェーン技術で証明できるようにしたい。新しいサービスがEV普及に少しでも貢献できればと期待している」(鈴木氏)。現在、イオンモール堺鉄砲町(大阪府)で実証実験中だ。

Loopに小売業初の参加

 「商品・物流」のCO2削減で重点を置いているのは、プラスチック対策である。

 イオンでは、経済性を担保しつつCO2ゼロを実現するプラスチックの利用法として、「イオン プラスチック利用方針」を20年9月にまとめた。具体的には、30年までに使い捨てプラスチックの半減、PB(プライベート・ブランド)の全商品で環境負荷の少ない素材の使用、PB商品のペットボトルの100%再生可能素材または植物由来素材への転換をうたっている。

 一方、リユース容器に入れて商品を販売し、使用後の容器を回収して再利用する国際的なプロジェクト「Loop(ループ)」に、日本の小売業として初めて19年12月に参画した。テラサイクル・ジャパンが運営する。他の参画メーカー各社と協力しながら、21年3月から、リユース容器を利用した商品の販売や使用後の容器を回収する予定である。

 「お客さまとともに」すすめるCO2削減では、レジ袋の削減が重要だ。日本では20年7月にレジ袋有料化の義務化がスタートしたが、イオンはそれ以前からレジ袋削減に積極的に取り組んでおり、20年7月時点ですでにレジ袋辞退率は85%を超えている。

 「当社ではビジョンの進捗状況を3年単位に区切って評価しており、その第1フェーズに当たる19~21年度はほぼ計画通りに進んでいる。また、18年当時には対策が具体化していなかった取り組みも、技術の進歩や実証実験によって、精度が高い状態で数値化できるようになった。30年に35%削減という目標も、できれば前倒しで達成したい」と鈴木氏は語る。

 小売り大手として脱炭素への歩みを先頭に立って進める意気込みだ。