最近は海外製が出回り、故障したら設備を丸ごと交換するセンドバック保守が多い。これについて山田氏は、「センドバック保守では代替設備の納期が正確に予測できない上に、故障の原因もわからない。我々は故障の際にはきちんと分析・修理し、発電事業者の側に立った持続可能なサービスを行うことで、お客様との信頼関係を構築したい」と話す。産業用高圧および発電事業者用特別高圧案件において、再エネの主力電源化推進に貢献するのがこの製品の狙いだ。

■ 太陽光発電用パワーコンディショナ 「XGI 1500」
■ 太陽光発電用パワーコンディショナ 「XGI 1500」
高効率な1500V入力。部品数の少ない設計で、保守コストと故障リスクの低減を実現した。スマ―トフォンで設定変更やモニタリングができる
(写真提供:安川電機)

 一方、「50年温室効果ガス排出実質ゼロ」に向けて、「PPA(電力販売契約)モデル」というサービスが注目を集めている。電力の需要家である顧客の工場や物流センター、店舗などの屋根に、事業者が太陽光発電パネルを設置する。事業者が運用・メンテナンスまで行い、顧客がその電力を購入する。顧客は初期投資ゼロで、太陽光発電による電力を自家消費できる。売電への投資意欲が下がっている昨今、自家発電による電力を自ら使うことによる省エネ効果に期待がかかる。

 同社は、中間工場(福岡県中間市)にPPAモデルを活用した自家消費型太陽光発電設備を建設中で、本年度中の稼働開始を予定している。

 「自家消費型太陽光発電用パワーコンディショナには、発電した電力出力を負荷に見合った量に制御する機能が欠かせない。PPAモデルには、インバータで培ったセンシティブなモーター制御技術を応用できる」(山田氏)。発電事業用途向け新製品「XGI 1500」の投入と、PPAモデルを活用した自家消費型太陽光発電設備の取り組みを加速させることで、25年の売り上げは20年(見通し)比で2倍以上を見込む。

AIで熟練の技を継承

 高度な信頼性を求められるという点では、日々の生活と密接に関係している上下水道の設備も同じだ。同社は1950年代から水処理プラントを始めとする社会システム事業に取り組んでおり、最近ではIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の導入でシステムをより高度化している。

 浄水場(水処理施設)では河川から取り込んだ水を浄化するために熟練技術者が水の濁度、温度、pHなどを踏まえ、経験に基づくノウハウで薬品の注入量を決める。熟練技術者の数が次第に減り、そのノウハウをどうやって継承していくかは大きな課題だ。そこで、これらのデータを機械学習させ、経験の浅い技術者でも安定して薬品を注入できる「薬品注入量運転支援システム」を開発した。「AI化すれば、誰でもベテランと同様の作業が可能になる」と山田氏は話す。

 下水処理施設でも、AIを活用した運転支援システムの開発を進めている。国土交通省が実施する下水道技術的革新事業(B-DASH)に参画した。従来は熟練技術者が顕微鏡で判別していた水中の微生物の種類を特定する画像診断支援技術や、熟練技術者による運転方法と同じレベルで実現できる水処理制御支援技術を構築している。21年度まで実証実験を続け、その後は実用化に向けて取り組みを加速させる。

 「これまでFA(工場自動化技術)分野で強みを発揮してきたが、これからは社会環境分野も強化したい。脱炭素化にも様々な領域で貢献できると考えている」(山田氏)。工場の自動化/最適化事業というコア事業の進化に加え、メカトロニクス応用領域の強化を通じて、持続可能な社会づくりへの貢献を目指す。