プラズマディスプレイで培った技術を生かし、高性能な真空断熱パネルの製造を実現した。コンビニやスーパーのショーケースや住宅の省エネルギーを可能にする。

 「プラズマディスプレイの製造技術があったからこそ完成したガラス」――。そう語るのは真空断熱ガラス「Glavenir(グラべニール)」の事業化に貢献した瓜生英一氏だ。

■ パナソニックの真空断熱ガラス「Glavenir」
■ パナソニックの真空断熱ガラス「Glavenir」
真空断熱技術により高性能トリプルガラスと同等以上の断熱性能をわずか4分の1の厚さで実現した
(図版提供:パナソニック)

 パナソニックのテレビ用のディスプレイパネル事業は2000年以降、大画面はプラズマディスプレイパネル(PDP)、中小型は液晶ディスプレイ(LCD)と二面展開してきたが、08年のリーマンショック後、グローバル市場で価格競争が激化。PDPは画質で勝るなど評価されたものの、そのシェアは次第にLCDに奪われ、13年12月に生産を終えた。

 01年のPDP量産以来、パナソニックのパネル生産は数千万枚に及ぶ。技術者をはじめ担当者はそこで培った技術や経験を新事業に展開できないかとアイデアを絞るが、トップが首を縦に振るような提案はなかなかできない。PDPの研究開発担当だった瓜生氏も、悶々として毎日を過ごした。

 瓜生氏はある日、ホームセンターへ行き、ひらめきを得る。1m2当たり何万円もする真空断熱ガラスが住宅用の窓ガラスとして売られていた。自分たちが先端技術を惜しみなく投入したPDPは、常に厳しい価格競争にさらされ、泣く泣くコストダウンの連続だった。同じ大きさにしたらPDPはそれよりも遥かに低いコストでなければならない。「そうか。PDPの事業を、もっと高い価格で売れる真空断熱ガラスの製造へチェンジしたらいいんじゃないか」。そんなアイデアが浮かんだのだ。

 瓜生氏はすぐに建材を扱うエコソリューションズ社(当時)のビジネスユニット長に直談判し、「よしやろう」との即決を得る。テレビを担当する部署から他の技術者と一緒に住宅部材を手がける部署へ異動し、そこで真空断熱ガラスの製品開発を始めた。

高い断熱性能、厚さ4分の1

 17年に真空断熱ガラス「Glavenir」が完成し、パナソニックはさらに磨きをかけて21年1月、オンライン開催された世界最大のデジタル技術見本市「CES 2021」で新しい「Glavenir」を発表した。ハウジングシステム事業部 VIG事業推進部長の木村猛氏はその特徴をこう話す。

世界最大のデジタル技術見本市「CES2021」(オンライン開催)でのプレゼンテーション<br><span class="fontSizeS">(写真提供:パナソニック)</span>
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世界最大のデジタル技術見本市「CES2021」(オンライン開催)でのプレゼンテーション<br><span class="fontSizeS">(写真提供:パナソニック)</span>
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世界最大のデジタル技術見本市「CES2021」(オンライン開催)でのプレゼンテーション
(写真提供:パナソニック)