また同社は、バイオマス燃料を利用した発電所の建設にも取り組んでいる。11年に閉鎖した京浜製油所扇町工場の跡地の一部を利用して、京浜バイオマス発電所を建設し、15年に稼働を開始した。木質ペレットとパームヤシ殻(PKS)などの木質系燃料だけを使い、出力は一般家庭約8万3000世帯の年間消費量に相当する4.9万kW。バイオマス発電では国内最大級の規模を持っている。

 さらに現在、徳山事業所では2カ所目となるバイオマス発電所の建設を進めており、また周南コンビナート内では、他企業も同様の発電所の新設を計画している。

 そこで21年1月より、国内でのバイオマス利活用のために周南市が発足させた木質バイオマス材利活用推進協議会に参画している。木質バイオマス材の需要が高まると予測される中で、同協議会を通してエネルギーの地産地消と林業振興を目的に実証実験を行い、国産の木質バイオマス材の利活用を推進していく考えだ。

 徳山事業所に建設中のバイオマス発電所は22年度に運転を開始する予定で、発電出力5万kW。開始当初は輸入木質ペレットとPKSを使うが、中長期的には間伐材や製材端材などの国産材にシフトしエネルギーの地産地消を目指すとともに、持続的な森林づくりと林業再生、地域振興、循環経済の構築に貢献していく。

徳山バイオマス発電所完成予想図<br><span class="fontSizeS">(出所:出光興産)</span>
徳山バイオマス発電所完成予想図
(出所:出光興産)

炭酸塩化とCO2資源化を推進

 カーボンリサイクルは、CO2を炭素資源(カーボン)と捉え、CO2から様々な炭素化合物を生成することで、化学品や燃料、鉱物などに再利用する取り組みである。

 出光興産は国主催のカーボンリサイクル技術ロードマップ検討会の委員として参加するとともに、炭酸塩化、CO2資源化の研究開発を行っている。CO2資源化は巨額の投資が必要になるが、炭酸塩化は比較的取り組みやすいため、研究開発が先行している。

 まず炭酸塩化の研究では他の企業や大学とともに、19年にCCSU(Carbon dioxide Capture and Storage with Utilization)研究会を設立し、カルシウムなどを多く含む産業廃棄物を活用し、CO2と反応させて、資源へ転換する技術開発を開始した。20年には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発委託事業として採択され、24年度までの5年間で、産業廃棄物から原料となるカルシウムを抽出し、排ガス中のCO2と反応させて固定化させるプロセスの実用化と普及を目指している。

 一方、CO2資源化では、独自開発した触媒を使ったガス拡散電極を用いて、水とCO2から太陽光エネルギーを利用してメタンなどの炭化水素の直接合成する技術開発に取り組んでいる。これは人工光合成ともいわれる技術で、現在の変換効率は植物の光合成と同水準に到達した段階だが、今後、触媒の性能をさらに高めることによって、CO2を効率的に処理できる技術の実用化を目指す。

■ 炭酸塩化プロセス
■ 炭酸塩化プロセス
出所:出光興産

 50年のカーボンニュートラル実現に向け、出光興産はエネルギー企業として、バイオマス資源の利活用と、CO2削減のためのカーボンリサイクル施策の取り組みによって脱炭素化に貢献していく。