首都圏に近い歴史ある群馬県高崎市の森林をサステナビリティ経営に生かす。フォレストック認定を取得してブランディングや地域貢献に活用している。

 群馬県高崎市の西部にある倉渕町地区には約1000haの広大な森林が広がる。長野県軽井沢町に隣接するこの地区は、中山(なかせん)道の裏街道として江戸時代から往来が多かったという。江戸城を改築・再建するためのケヤキ材などもこの地区で育てられ、同街道に沿って流れる利根川の支流・烏川を経由して江戸城下まで運ばれた由緒ある森でもある。

 この森を所有するのが、埼玉県の旧浦和市(現・さいたま市)で1970年に創業したエコ計画だ。廃棄物の収集・運搬から中間処理、最終処分までをワンストップで手掛けている事業者で、「環境・食・貢献」をテーマに事業を推進している。本業に大きく関連する「環境」に軸足を置いた事業展開で地域貢献や地域との共生を企業理念に掲げる。

 特に、地域への貢献として地域企業に積極的に資本参加しており、サッカーJリーグ「浦和レッズ」を運営する浦和レッドダイヤモンズや、ケーブルテレビ最大手ジェイコムグループのジェイコム埼玉・東日本の経営に参画している。

SDGsで14の目標をカバー

 エコ計画は倉渕町地区にあるこの森林(以下、エコ計画の森林)を2008年に取得した。それ以来、持続可能な森林経営に積極的に取り組んでいる。林野庁などは森林保護を、日本の国土と水源を守る保全につながることから「サステナビリティの観点から最も価値の高い取り組み」と位置付けている。エコ計画もその観点から、森林をサステナビリティ経営の中心に据え、戦略的に活用している。

 SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みという観点では、17ある目標のうち、森林保護を中心に14の目標をカバーしている。残る3つの目標についても、「22年度内には何らかのかたちで取り組みをスタートさせたい」と山崎禎泰・執行役員経営企画室長は抱負を語る。

■ 森林の健全経営でSDGsの14目標に対応
■ 森林の健全経営でSDGsの14目標に対応
★森林に関する目標
(出所:エコ計画)
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 エコ計画の森林は、企業がサステナビリティ経営を深耕していく上で、“森”という資産が新たな環境価値を社会にもたらすケーススタディーとして大いに参考になる。首都圏の近くで広大な天然林を包摂した森林を購入して経営するのは「ご縁がないと、なかなか難しい事業」ではあるものの、どのような面でサステナビリティに貢献するのかを見てみよう。

 エコ計画の森林は、12年11月に「フォレストック認定」を取得した。フォレストック認定制度とは、適切な森林管理によるCO₂吸収量の確保に特化したクレジット認定制度である。日本林業経営者協会が08年に創設した「フォレストック協会」が認定を行なっている。

 実際には、専門的な調査能力を持つ森林認証機関が「森づくりにおける森林吸収源・生物多様性等評価基準」に従って、「生物多様性の評価」及び「森林の管理・経営の評価」を行なう。さらに森林吸収源(CO₂吸収量)を算定し、フォレストック協会が「CO₂吸収量クレジット」を発行する。国内初のフォレストック認定を取得したのは、群馬県片品村にある「尾瀬戸倉山林」だ。エコ計画の森林は、首都圏(関東地区)に位置しながら尾瀬に次いで2番目に認定を受けた。

全面積の約7割が天然林

 まず生物多様性の評価において、エコ計画の森林は、全面積958haのうち約7割が天然林であり、様々な動植物種が生息しているという点で高い評価を受けている。

 天然林のうち約3分の1を広葉樹林が占め、その中に人工植樹などによるスギ、ヒノキ、カラマツの針葉樹林がバランスよく配置されている。多様な樹種と林齢の木が分布しているのが特徴だ。