アブラヤシ廃材利用の再生木質ボード化技術を開発し、アジア家具市場への展開を目指す。放置される廃材からの温室効果ガス発生の削減と、森林伐採の抑制に貢献する。

 便利なものは、その裏側で厄介な課題を抱えていることがある。パーム油の原料を得るアブラヤシの木もそんな存在と言える。

 パーム油は、チョコレートやスナック菓子、カップ麺といった食品から洗剤、化粧品に至るまで多くの日用品に使われている。食感をよくしたり、水分と油分を混ざりやすくしたりする効果がある。スーパーに並ぶ食品の約半分はパーム油を使っていると言われ、日本人1人当たりの年間消費量は約6kgになる。

 パーム油の生産は、マレーシアとインドネシアで世界全体の約85%を占める。パーム油の原料となるアブラヤシの果房(果実)の収穫は、外国人労働者に頼っているケースも多く、そこでは果実の運搬に児童労働が指摘されるなど、人権侵害が国際的に解決すべき問題になっている。

廃材から温室効果ガス発生

 さらに見逃せない大きな問題がある。パナソニック ハウジングシステム事業部イノベーション本部新基材事業開発プロジェクトのプロジェクトリーダー、大野達司氏は次のように説明する。

 「パーム油需要の拡大に伴い、深刻な環境問題が生じている。放置された廃材からメタンガスを含む温室効果ガスが発生する。さらに、新たにパーム農園を造る際に焼き畑によってCO₂が排出され、森林伐採でCO₂吸収力が減少する。つまり、温室効果ガス削減と森林保護の双方からの取り組みが必要になっている」

 「世界森林資源評価メインレポート概要」によると、世界の森林面積は2010年に41億600万haだったが、20年には40億5900万haと、年々減少している。

 アブラヤシから果実が収穫できるのは25〜30年間で、木は十数mの高さに成長する。収穫期を終えた木は伐採されて農園内に放置され、腐敗する時にメタンガスを含む温室効果ガスを発生する。放置される廃材(幹)はマレーシアで年間約4500万t、インドネシアで同9000万tに上り、パーム油の生産量を大幅に上回る廃材が発生している。

 SATREPS(地球規模環境課題対応国際科学技術協力プログラム)の研究報告によると、廃材1本から発生する温室効果ガスは、CO₂換算で約1.3tになると試算されている。メタンガスの温室効果はCO₂の約25倍と大きく、廃材の有効活用が必要とされていた。

■ アブラヤシの課題
25~30年間で収穫期を終えるアブラヤシ。廃材の多くは農園内に放置されている
25~30年間で収穫期を終えるアブラヤシ。廃材の多くは農園内に放置されている
(出所:パナソニック)
(出所:パナソニック)
[クリックすると拡大した画像が開きます]