世界中で人々の購入体験を変革した米アマゾン・ドット・コムが、環境保護でも存在感を高めている。日本ではコーポレートPPAを先駆的に進め、2040年までにCO₂排出実質ゼロを目指す。

 米アマゾン・ドット・コムは2019年、国際イニシアチブのグローバル・オプティミズムと共同で「クライメート・プレッジ(気候変動対策に関する誓約)」を発表し、最初の署名企業となった。パリ協定に基づき50年までの脱炭素が世界の潮流となる中、同社は40年までに事業全体のCO₂排出実質ゼロを目指す。

 「アマゾンは顧客第一主義を掲げている。社会が企業に対してサステナビリティに取り組むことを期待する昨今、環境問題に対してより積極的な施策を推進するのは当然だ」と話すのは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)公共政策部エネルギー・環境政策リード(アジア太平洋・日本)であるケン・ヘイグ氏だ。

 同社は21年、社員の行動規範である「リーダーシップ・プリンシプル」に企業として社会的な役割を果たすという項目を新たに追加した。これは、「アマゾンの事業規模が大きいことを活用し、より良い世界にするための行動を起こし、その成果を社会に還元する」という考え方である。

 クライメート・プレッジの賛同企業は、発表から2年で世界200社以上にまで拡大した。アマゾンは日本でも、20年に日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)に加盟し、実質炭素ゼロや再生可能エネルギーの100%利用の実現に尽力している。当初は「30年までに再エネ100%に切り替える」としていたが、「現在は5年間短縮して25年までを目標にした」とヘイグ氏は話し、スピード感をもって取り組んでいることを強調する。

電力を100%再エネで賄う

 この「再エネ100%使用」という目標は、アマゾンが自社のオフィスや物流倉庫、アマゾンウェブサービス(AWS)などの事業で利用する電力だけではなく、同社が提供するデバイスにも拡大する考えだ。

 物流面でも30年までにアマゾンの全配送の50%を脱炭素化する目標「シップメント・ゼロ」を掲げている。実現に向けた取り組みの一環として、アマゾンも出資する電気自動車(EV)スタートアップの米リヴィアンに、クライメート・プレッジ・ファンドを通じて投資し、30年までにリヴィアン製のEVを10万台導入する方針だ。

 グローバル規模で様々な施策が進む中、アマゾンは21年9月、日本で再エネを大規模に購入する「コーポレートPPA(電力購入契約)」を結んだことを発表した。首都圏と東北地方の450カ所で発電した約22MWの太陽光発電による電力を一括購入する計画だ。

 ヘイグ氏は、「日本では広い土地を確保するのが難しいため、再エネの大規模な購入は難しいとされている。今回の契約は、一つひとつの規模は小さくても一元化して購入することでより大規模なコーポレートPPAが実現可能であることを証明するもの」と解説する。

 加えて、「地域が分散されているからこそ、全国各地で環境に優しいビジネスへの雇用を創出する機会にもつながる」とも話し、国や自治体による補助金や助成金の支援を受けずに実現しようとしていると説明した。

 「アマゾンにとっても非常にハードルの高いプロジェクトだったが、今後、日本のコーポレートPPA市場の拡大につながる好事例になるだろう」(ヘイグ氏)と、先駆的な取り組みであるとの自負をみせる。

 アマゾンの再エネ利用率は19年に世界のグループ全体で42%だったが、20年には65%に増加した。現在は世界で270以上の再エネ関連プロジェクトが進行している。