LEEDとWELL認証を取得へ

 同プロジェクトでは「LEED-ND」認証の取得を目指している。LEED (Leadership in Energy & Environmental Design)は、米国グリーンビルディング協議会(USGBC)が開発・運用し第三者機関のGBCIが認証審査を行う、建築や都市の環境性能評価システムだ。中でもLEED-ND(Neighborhood Development)(街区版)は建物単体のみではなく複合的なエリア開発の計画段階から設計・施工までを評価する。認証を取得するに当たり、高い省エネ性能に加え、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)基準による換気量の規定達成や、雨水の有効利用、節水器具の採用、喫煙室設置などの規定順守に取り組んだ。

 プロジェクトのもう1つの柱であるWellnessは、「多様な人々が健康的に生きられるコミュニティー」を目指す。医療施設をはじめフィットネスクラブやレストランなど様々な施設の他、都心最大級の生徒数を誇るインターナショナルスクールの誘致など、街に住み、働くことのすべてがウェルネスにつながる仕組みを創出する。

 その裏付けのため、最も高層なタワーであるA街区で「WELL v.2 コア版」認証の取得を目指す。国際ウェルビルディング研究所(IWBI)が開発したWELLは、人の健康に配慮した建物・室内環境および業務運用の認証システムだ。

 WELL認証取得で一番のハードルは、必須項目の「屋内喫煙の禁止」だった。WELLでは喫煙室設置を認めていないが、事業エリアの東京都港区には路上喫煙禁止条例があり屋外喫煙が難しい。そこで米国の認証元と半年以上かけて交渉し、所定条件を満たした喫煙室を建物内に設置し、代替適合手段(AAP)の認証を取得した。

 「世界に通用する環境認証の取得に取り組んできたのは、テナント候補となるグローバル企業に対して開発の魅力を目に見える形で訴求するため」(村田氏)。都市づくりを進めていく中で、これらの認証評価項目が、同社の考え方に合致していた点も大きかったという。

 プロジェクト推進にあたって、保留床取得資金を使途とする公募形式の無担保社債「グリーンボンド」を発行した。2回目となる20年10月発行のハイブリッド債は、環境金融研究機構(RIEF)主催「第6回 サステナブルファイナンス大賞」の「グリーンボンド賞」を受賞した。投資家から大いに注目を集め、国内のESG債として史上最多111件の投資表明を得て450億円を発行した。

 投資家からの高い評価を背景に、森ビルはこれからも国際都市・東京を舞台に、魅力ある都市づくりを加速させていく。