低燃費タイヤの普及に取り組み、ウェット性能の高い製品数を充実させている。約50%軽量化を目指すコンセプトタイヤの開発で、環境・安全技術を追求する。

 「最高グレードのウェットグリップ性能『a』を獲得したタイヤが、2020年12月に業界初となる360種類のサイズを突破した」。横浜ゴム消費財製品企画部の白井顯一氏は、雨に強い自動車タイヤを豊富にそろえる製品展開についてこう説明する。

 「ウェットグリップ性能にこだわるのは、事故が起こりやすい雨の日が日本には多いからだ。日本の年間平均降水量は1690mmで世界平均の約2倍。雨が降ると運転時の視界が悪くなり、路面が滑りやすくなる。晴れの日に比べ、雨の日の交通事故は約4倍にもなるという。

 ウェットグリップ性能を高めて雨の日の事故を減らし、安全なクルマ社会の実現に貢献するには、タイヤのパターン(溝)により排水性をよくし、硬くなりにくいゴムで路面をしっかり捉えることが必要だ。さらに、転がり抵抗を小さくしてなめらかに車を走らせれば燃費が向上し、排ガスの削減にも役立つ」

 つまりタイヤの開発では、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能の相反する2つのバランスを取り、安全性と環境配慮を両立させることが重要だ。日本自動車タイヤ協会のラベリング制度は、転がり抵抗性能がAAA〜A、またウェットグリップ性能がa〜dであるものを「低燃費タイヤ」と定めている。横浜ゴムはこのラベル制度でも高水準の製品を、国内外の市場に送り出している。

■ タイヤ技術の追求で環境負荷を低減
■ タイヤ技術の追求で環境負荷を低減
ウェットグリップ性能のグレード「a」と「c」では、雨の日の制動距離に大きな違いが出る。横浜ゴムは、グレード「a」のタイヤを360種類のサイズで展開しているほか、低燃費とウェットグリップ性能の両立に欠かせないシリカ配合技術の開発により、最高グレードの転がり性能とウェット性能を両立させたタイヤであることを示す「AAA-a」ラベルを獲得
※タイヤラベリング制度(日本)による
(画像提供:横浜ゴム)

 横浜ゴムの低燃費タイヤ開発の取り組みは25年前にさかのぼる。「走りのヨコハマ」というイメージが定着していた1996年、新たな付加価値を創出するプロジェクトが始動した。設計、営業、宣伝の各部署から人材を集めて発足した新プロジェクトは、新たな核(DNA)を開発するという目標から「DNAプロジェクト」と名付けられた。そして98年に誕生したのが、「転がり抵抗を低減することで燃費を改善するとともに、CO2の削減を目指す」とうたった「ECOタイヤ DNAシリーズ」だ。国内のタイヤメーカーでは初めての試みだった。

 それ以来、横浜ゴムは低燃費タイヤの普及を進め、低燃費タイヤの国内販売の割合が90%以上(交換用の夏タイヤ)に拡大している。

タイヤの重さを半分に

 横浜ゴムは第46回東京モーターショー2019に、超軽量化技術を用いたコンプトタイヤ「Ultra Lightweight Concept Tire」を出品した。同社はタイヤの省資源化や車両の燃費向上をより追求するため、約50%の軽量化を目指している。タイヤのサイド部分にフィンを取り付け、タイヤや車両の空気抵抗を減らす工夫も盛り込んでいる。

 「コンセプトタイヤで取り組む技術開発は、環境負荷の低減に貢献する。持続可能な開発目標(SDGs)の9番『産業と技術革新の基盤をつくろう』と12番『つくる責任 つかう責任』につながり、持続可能な産業化を進めることになる」と、長谷川祐二CSR本部長代理兼CSR企画室長は話す。